カケラの海へようこそ。

彼のもの







もう、どれくらいこうしているのか。
私は霞む頭を力無く上へと上げる。
目だけほんの少しだけ動かし辺りの様子を伺うと、視界だけでなく嗅覚も死を目の当たりにする。
私の周りには死体がごろごろと転がっており、そのどれもが見覚えある親戚のもの。


ーーーーー楼座おばさんに、夏妃おばさん。

真里亞ちゃんに、朱志香。秀吉おじさんに、譲治くん。


「ぅう、ーーーーーーっ!」





急に吐き気を覚え口を手で覆う。
当たり前だ。死体など普通は見ない。
人生で1度見ないこともあるぐらいなのだから。



「あ、れ.........。ば、戦人は?」









そうだ。私の恋人でもある戦人がいない。



彼は無事なのだろうか?

うまく、犯人から逃げているだろうか?



彼のことを思うと、少しだけ身体に力が入り立ち上がることができた。


「ぅ、っ、ば、とら?どこ?」




壁に手を付きながら、ゆっくりと歩いていく。
その時だった。


聞きなれた、彼の、こえ。










「かずな、生きてたのか!?」
「戦人ッ、良かった、いきてたのねッ...」



彼はいつものように私を優しく抱きしめてくれた。



「だっ、誰かがこの島にいるの!みんなみんな殺されてしまったッ!どうしようーーー」



そう戦人にしがみつくと彼は、私の耳もとでこう囁いた。


「大丈夫。もう、この島には、俺たち2人の邪魔をしたり反対するやつは1人も居ないよかずな。そして、金も手に入るんだぜ!!!2人だけのな!」

「え...?」








「愛してるぜ?かずな。いっひっひっひ!!」











そう笑う彼の顔は、今みると返り血を浴びていた。







彼のもの


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