甘にお〜くんに甘やかされないと生きていけない
「にお、くん」
『ん?どした』
「髪乾かしてほしい」
仕事から帰ってきてお互いにご飯を済ます
どこか疲れた顔をしていたのが気になって、あんずのお気に入りのバスソルトを準備してお風呂に向かわせたのが30分前
普段はお風呂上がり自分でテキパキと髪を乾かすあんず
そんなあんずが髪をびしょびしょに濡らしながら擦り寄ってくるのはきっとなにかあったんじゃろな
「ごめんね、仁王くんお風呂まだなのに」
『かまんよ ほれ こっちきんしゃい』
ドライヤーを手に取ってソファーに凭れかかるように胡座をかくと、その前にちょこんと座るあんず
丁寧に櫛を入れ、ゆっくりと梳かすように乾かしていく
『髪伸びてきたのぉ』
「ん〜?何か言った?」
『なんもなかよ』
途中でヘアオイルを付け、仕上げに冷風を当てる
まぁこんなもんでよかろ
『ほれ 終わったぜよ』
「ありがと 仁王くんは優しいね」
『けろけろ 今日はえらい素直じゃな』
なんかあったんか?
軽く髪を梳きながら頭を撫でて尋ねる
う〜ん、なんて唸るあんずの顔が見たくなって、こっちにくるっと向けると少し眉間に皺が入った顔が目に入った
「これといったことはないんだけど……」
『その割にここ、皺になっとる』
さっきスキンケアは済ませとったが気にせずに眉間を指でなぞると、俺に触られたのが嬉しかったのか少し表情が柔らかくなったあんず
そのまま頬をもちもちと揉むと、止める気のない拒否の言葉が聞こえてくる
「さっき乳液塗ったばっかりだから手汚れちゃう」
『構わんよ マッサージじゃき』
「うう〜〜仁王くんが触りたいだけでしょ…!」
両手で頬を包み込むとされるがままになるのが可愛くて、堪能するように頬を撫でているとさっきまであった眉間の皺は薄まっていた
『あんず』
「ん?」
『そんな1人で無理せんでいいからな』
楽しい時はもちろん、寂しい時、悲しい時 何かあった時に一緒に共有出来るような関係になりたいし、何かあったら抱え込まずに話せるような存在でありたい
だから だから
『もっと甘えんしゃい』
あんずは1人で抱え込みすぎなんじゃ
「にお〜くん…」
目に涙を溜めて下から覗き込んでくるあんずの唇に触れるだけのキスを落とすと、そのまま膝の上に乗せ包み込むように抱きしめる
いつもならこのままベッドに行くが、今日はこうやってくっ付いてるのが正解じゃろ
『よしよし あんずは頑張っとるよ』
「ありがとう……仁王くんすき……」
『俺もじゃ』
「なんか仁王くんの匂いに包まれてたら安心して眠くなってきちゃったかも」
『なら先に寝とくか?俺シャワー浴びてくるき』
「やだ 待ってる」
『ん なら急いで入ってくるから待っとって』
くあ、っと小さく欠伸しながら目を擦るあんずをそのまま抱き抱え、ソファに座らせる 早くね、なんて言いながらとろんとした顔でこっちを見るあんずの顔はさっきまでと違ってスッキリして見えた
今日はあんずが寝るまで仁王雅治お手製のおとぎ話でも聞かせてやるとするかの
『ほんに手のかかるお姫様じゃ』
ま、あんずが元気になるならこれくらい安いもんじゃな
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