再会
「もしかして永四郎くん?」
『その声はあんずさんですか?』
全国大会決勝準決勝 茹るような暑さの中試合を終えた立海テニス部のレギュラーメンバーである丸井くんと会場を歩いていると、昔よく聞いた耳馴染みのある特徴的な声が聞こえて思わず声を掛ける
『キテレツ?あんず知り合いかよ』
「うん 私こっちに越してくる前に少しの期間沖縄に住んでたことがあるの その時永四郎くんにはお世話になってね」
『神奈川に引っ越すとは言っていましたがまさか立海に入っているとはね』
「そうなの 永四郎くんのテニスずっと見てたからか好きになっちゃって」
マネージャーもしてるんだよ
そう言うと嬉しそうな顔を見せる永四郎くんとは反対に隣でむすっとした顔をする丸井くん
「丸井くん?どうかした?」
『別に ただ木手のことは下の名前で呼んでんだな』
『丸井くん嫉妬ですか?男の嫉妬は見苦しいですよ』
「甲斐くん達が下の名前で呼んでたから私もそう呼んでたんだよねぇ そういえばみんなは元気?もし近くにいるなら久しぶりに会いたいなぁ」
まさかこんな所で再会出来るなんて思ってもなくて、隣にいる丸井くんそっちのけで永四郎くんに話しかける
沖縄でみんなと離れた時はまだ小さくて連絡先なんて聞けなかったからこれを機にみんなと繋がれたらいいなぁ
『甲斐くん達なら向こうで飲み物でも買ってるんじゃないですか みんなにもあんずさんが居たこと伝えておきましょうかね』
「ふふ 嬉しいなぁ そういえば明日の決勝は見に来るの?」
『えぇ せっかくなら決勝の行方を見届けないとね』
『ま 勝つのは俺らだけどな ほらあんずもう行くぞ』
ぷくっとガムを膨らませてつまらなさそうな顔をする丸井くんに謝りを入れる
「明日また会えるかな?みんなともまた会いたい」
『隣にいるナイトが許してくれれば、ね』
『うるせぇよキテレツ』
『怖い人だ ではあんずさん また明日』
明日はその隣の人置いてきてくださいね
そう言いながら手を振り去っていく永四郎くんを見送ると、隣にいる丸井くんが何か言いたそうな目でこっちを見てくる
「丸井くん…?どうかした?」
『ブン太』
「ん?」
『俺のことも下の名前で呼んでくれよ』
あいつばっかりずりぃじゃんか
どこかぎこちなく、でもしっかりと目を合わせてくる丸井くんに思わず照れ臭くなって目を逸らしそうになる
こんな真剣な丸井くん、テニス以外で見ることあんまり無いかも…
「ぶ、ブン太くん…?」
『ん よく言えたな これからはずっと下の名前で呼んでくれよ?』
どこか恥ずかしいけど、目を合わせながら名前を呼ぶ
するとさっきまでの拗ねた表情が嘘みたいに柔らかくなって頭を撫でてくるから丸井くんはズルい
『んじゃ 俺たちも行くか 早く追い付かねぇと真田達に怒られちまう』
「う、うん 明日は大事な日になるからね」
明日は私にとって、いや私たちにとって大切な日になるといいな
なんて考えながら先に歩き出した丸井くんの後を追った
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