――ああ、また失敗した。
薄れゆく意識の中でカリナは無気力に思った。
ソーディアンとソーディアンマスターたちが何か言っているけれど、もうほとんど聞こえない。
ただ、何かを嘆いているのはわかった。
――勝っておいて、何を悔やむというの。
釈然としない気持ちが湧き上がる。
千年前のあの時もそうだった。
私は彼らの敵なのに、ダイクロフトから落ちる間際に見えた彼らの顔は驚きだけでなく悲しみも浮かべていた。
あの方を、たくさんの天上軍の兵士たちを倒しておいて、カリナだけの死を悼むだなんて。そんなことあるわけない。
――ああ、ミクトラン様。ごめんなさい、ごめんなさい。カリナは…マナはまたご命令を守れませんでした。
あの方の蔑むような目を思い返しただけで全身が凍るようだ。
感情なんて持つべきではないと、判断を誤らせるだけだと、何度も言われてきたのに。私の考えて決めることなんて、ただ無駄で意味をなさないものだとわかっていたのに。
何故同じ過ちを繰り返してしまうのだろう。
――リオン。
あの子を救ってあげたいだけだった。
なんの考えもなく天上も地上もと欲しがった千年前とは違うつもりだった。
あの方とリオン、二人だけを望んでいたのに、それすらも自分の手のひらでは護りきれなかった。なんて無力。
でも、どうすれば良かったのかなんてわからなかった。
――でももう、これで終わり。
きっとソーディアンたちは神の眼を破壊する。そうしたら外殻大地も都市も壊れてなくなってしまう。このまますべてと共に海に沈むのも良いだろう。
だって、もう何も考えなくて、感じなくて済むのだから。
失敗を重ねずに、済むのだから。
――ああ、でも。後悔するとするなら。
リオン。あの子の望むこと、わかってあげられなかった。
きっと何度繰り返してもわからない。
それでも何かあの子にしてあげたかった。
カリナのことを…姉さん、と呼んでくれたから。
――ごめん、なさい。
その言葉だけが心を支配する。
けれど今度こそ終わりだと、安堵と少しの未練の中、カリナは最後の意識を手放した。
2018.08.02投稿
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