身体を上へギュッと引っ張られる感覚がして、目蓋を光が射した。
 あたたかいと言うには嫌にまとわりつくような気配が全身を包む。
 気持ちが悪い。
 あまりの不快感に無理やり意識を呼び起こす。白い視界が段々とかたちを為す。
 そこで見たものは明らかに、おかしなものだった。


――どうしてこんなことになってしまったんだろう。


 はじめに感じたのは絶望だった。
 確かに力尽きたはずの自分がどうしてまた起き上がることなどできるのか。
 もうすべて終わったはずなのに。
 どうして。


「お前は"やり直す"ことができる」


 誰かがそう告げた。けれど何も思い浮かばなかった。
 やり直す?何を?どこから?
 わけがわからない。
 私のすることなどすべて間違いで、"あの方"のご命令だけが正しい。私は"あの方"がいなけれは何もできない。
 "あの方"のいない世界で、いったい私になにができるというのか?
 望みなどない。願いなどない。
 私は何も感じてはいけなかった。


「愚かな。しかしお前の"大切な者"に会えばその考えも変わるだろう」


 そう言って勝手に放り出された世界で、私は何をすればいいのだろう。
 わからない。
 わからない。
 "あの方"を探さなければ。
 ただそれだけが私に残された小さな希望だった。







2018.12.27投稿


 
back top