小ネタや名前変換無しsss等

20160508

前に言った左薬指の「予約」は"指をなぞるだけ"について

「手見せて」
「手、ですか?」
 いきなり投げられた言葉に疑問符を浮かべながらも右手を差し出したが、彼は「逆」とだけ言うと下げられていた私の左手を手に取った。その行動にやはり私の頭には疑問符が浮かんだままだ。彼の大きな右手には、添えるように私の左手が乗せられている。まだまだ消えない疑問符を消そうと、何なのか声をかけようとした時だった。
 するり。
 ただ私の手を乗せていただけの彼の右手の親指が、突然私の手の甲をなぞったのだ。不意打ちの落ち着かないその感覚にぞわりと肌が粟立った。びくっと震える身体に気付いているだろうに、彼はただただその行動を繰り返す。
 さわさわ。
 私の手の甲を行ったり来たり、優しく肌を撫でていく。それを何度か繰り返すと彼の親指はやがて、私の薬指の付け根をなぞってそのまま指先に向かいするりと滑り離れていった。
「な、……なにして、?」
 震える声で言葉を投げる。彼は楽しそうに笑みを返した。
「ちょっとね、予約」



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