眠るまえにはレポートを



カレンダーに丸つけられた今日は休日の日。

特にやることもなく、自室でただGBASPを弄る。ちなみに光に当てるとラメのように輝く藍色に近い青色……えーとたしか、コバルトブルーていう名前だった気がする。

カセットを挿す部分を見れば少し、いやかなりカセットがはみ出ている。意外と目立つがどこかで強く引っ掛けて外れない限りはこの手の機械は意外と丈夫に出来ているので平気である。

そのカセットに貼ってあるシールの
ゲーム名は某携帯獣の初代版だ。
色は緑である。

本当は某わっふーな夢見る冒険のゲームソフトを探していたのだけれど、探している途中このソフトを見つけたら自然とこれをやっていた。
ということは特にそれがすごくやりたい!という訳でもなかったのだ。
所詮はゲーム、暇つぶしの材料である。

気づいたら夕飯とトイレとお風呂をクリアしつつも夜中までやっていた。
……流石にやり過ぎか、だよね。
自分も思った。

一つのことに集中すれば時間なんて忘れる。
それを勉強に回そうよ、自分。
でもそれができないんだよね、仕方ないね。
勉強とはやりたくないことだから勉強なのだ、
偉い人がどこかで言ってた。

いや、それ以前にゲームが見つかったら掃除するはずだったような。
そして前よりも物が散らかっている気がする。
とりあえず物をかき集めてから要る物要らない物って分けて片付ける派だから。
今がその過程だから気にしない。
気にしないったら気にしないのだ結果が全てである。


『あー目がしぱしぱする……』


データをセーブしてゲーム機の電源を切る。
パチッという小気味の良い音を立ててゲーム機を机に置き、布団を被る。
ちなみに歯磨きも風呂もとうに終えた。
夜中に掃除するのは自分くらいだから明日に回そう。


『……はぁ、というかなんで家にいるんだっけかなぁ』


ゲームのやり過ぎで痛む目を無視して目を閉じた。
正直頭も痛い、眼精疲労になったようだ。

でも明日には治ってるだろうと睡魔に意識を任せた。
あー、明日には掃除終わらせよう。

えーと、私たしか家にいない予定のはずだったんだけれどなんでここにいるんだろう。
そもそもなんで家にいないんだったっけ。
そしてなんで掃除していたんだっけか。

その予定もその意味も分からないまま束の間の休息だと思いやけに重たい体をやけに懐かしく感じるこのベッドに身を任せた。
というか、この家での歯磨きもお風呂もすごく懐かしく感じた。
何故だろう。悲しいのか寂しいのか、
少し涙が出てくるのだ。

それを無理やり知らないふりをして目を瞑ればやがて意識が夢へと誘われていく。
夢か現かの合間にどこかで
クスクス、と誰かの笑う声が聞こえた気がした。