welcome??? to tokyo

「よろしくお願いします。」

ゆっくりとお辞儀をする女の子を前に俺たちは呆然と立ち尽くすだけだった。

急に告げられた三代目への追加メンバー。戸惑う時間もなくHIROさんに連れられた部屋にいたのは小さい女の子だった。
扉に背を向け座っていた子は扉を開くと、ゆっくりと振り返り俺たちを見据えた。HIROさんから紹介する声も俺たちには届かず、離されることのない目線に背筋を伸ばした。

「桜庭紫苑です。ボーカル兼ダンサーとして仮の追加メンバーになります。」

とりあえず1年決まっていたツアーや活動に参加するという事だった。

どうして、なんで女の子が、メンバーも戸惑っているのだろう、声を発することなく、彼女をまじまじと見ていた。

「いや、いきなりですね。」

「ああ、悪いな。」

「どうして、女の子なんですか?追加メンバーなんて。」

彼女の前で悪いという考えもなく、あまりにも受け入れ難い事実を口に漏らしてしまう。

ちらりとHIROさんが彼女を見ると、彼女もHIROさんへと目線をやる。

黒いベリーショートを少しだけ耳に掛ける彼女は動揺を微塵も感じない。メンバー全員の視線が集まっているのも気にならないのか、俺の顔を見据えている。


「ビジュアルも申し分ないだろう。あまり浮きすぎないように髪も短くしてもらったんだ。」

確かに綺麗な子だ。LDHでも彼女ほど顔の整った子はいないだろう。

白い肌に薄い唇、化粧をしていなくても目がはっきりとして、長いまつ毛の間からは人一倍薄い茶色い目が覗いている。

シンプルなTシャツの下から伸びる腕は白く細い。俺を見上げるほどしか身長がないがスタイルの良さが彼女の身長をカバーしている。

「歌は俺が保証する。アツシのお墨付きだ。ダンスは未経験だが、センスもいい。」

「でも、女の子ならE-girlsもありますよね。」

「ああ、そうだが。彼女は、三代目の方が良いと俺が判断した。」

HIROさんにそう言われてしまえば、俺たちにはもう彼女を受け入れるしか方法はない。

「1年間。ですよね。」

そう聞いたのは臣だ。

「ああ、それで、彼女が必要ないなら、1年のみになる。」


もう一度彼女はよろしくお願いしますと。ゆっくりと穏やかに笑顔を見せた。