笑えない金色の蛇は怒る
紫音はムゲンで雑用をこなす女の子だった。
まだ高校生だった紫音はたまたま琥珀さんに襲われているところを助けてもらった女の子で、ITOKANに出入りするようになった。
ナオミや龍也さんの手伝いをしたり、俺たちの傷の手当てをしたり、ムゲンの明るい大切な一人娘のような存在だった。
「コブラさん」凛とした声はよく通り、呼びかけに応えてやれば嬉しそうにその目尻に皺を刻む。
真っ白の肌に真っ黒のボブ。頭を撫でるとくすぐったそうにすぐに手櫛で整えるのだ。
お互いに特別な存在だった。彼女が笑えば、俺も笑った。
幼馴染3人の特別な場所に上がれば、紫音は「つけてきちゃった。」と少しだけばつの悪そうな顔で舌をだした。その姿はしばらく会っていない今も目に浮かぶ。
ゆっくりと目を開ければその姿は消えてしまう。
ノボル、琥珀さん、紫音。
戻ってくる場所を作りたいと、山王連合を結成したんだ。
「おい、コブラ。」
「ヤマト。」
「飯俺んちで食うか?」
「ああ、またおにぎりだろ?」
「そうだよ。」
俺は紫音を失ってから、素直に笑えなくなったんだ。