「オ、オメーらどうやって…?」

コナンと博士に続いて子ども達の元に駆け寄ると、煤けた姿の3人はどこかほっとした様子を見せて話し出した。

「知らない女の人が急に出てきて助けてくれたんだよ!」
「斧で扉をぶち破ってよ!」
高揚した様子の歩美ちゃんと元太君に続いて、あの山小屋の屋根裏に住んでたらしいんです!と冷静を装ってもなお興奮が隠し切れない光彦君が補足する。


3人は大きな怪我をしている様子もなく、ありすはひとまず安堵する。
だけど、あとひとり…周囲を見回すがその気配はなく。

「哀君はどうしたんじゃ?」
まだ落ち着かない様子の博士が問いかけると。
「その女の人が先に助けて、安全な所まで逃げるように言ったって…」
「さっき灰原さんから電話が来ましたから、無事なのは確かです!」
少し心配そうな歩美ちゃんのあとに、光彦君が力強く答える。


別行動…?

ありすが首を傾げた一方で、目の前のコナンは何かに気づいた様子で、
「…その女、どっちへ行った?」
「コナン君達が来るまで隠れてろって言って…あっちの方に…」
「オメーらはそこで待ってろ!」
そう言い残すと、光彦君が指差した方向へ駆けていった。



「あのー、一応、子供達からも話を聞いときたいんですが…」
山村警部は博士に話しかけている。どうやら事情聴取の要請らしい。

どこか緊迫感の抜けた空気に、ありすは少し戸惑う。
森の中に消えたコナン君も気になるが、灰原哀——彼女の無事を直接確認しておきたいところ…
ありすは暫く考えたのち、直接子ども達に訊いてみることにした。

「哀ちゃんはどこにいるかわかる?」
「いえ、電話で大丈夫と言ってましたが、場所までは…」
「そっか…」

手掛かりは、なし。コナンが駆けだした先に視線を向けるが、すでに気配はない。

聡いあの少年が人払いをしたとなると、何かがあるのは間違いなさそうだが…
どうやら山村警部と話し込む博士の落ち着きを見る限り、彼女のことはさほど心配しなくてよいらしい。
であるならば、ここは一旦様子見をするべきか…とありすは思い直す。


それにしても、突然出てきた見知らぬ女性とは一体誰なんだろう。
…捜しに行った”彼”は、その女性に心当たりがあるようにも見えたけれど。

「ねぇ、助けてくれた女の人ってどんな人だったの?」
「美人さんだったよ!」
「ちょっと灰原に似てたよなぁ?」
「だからこっそり撮ったムービーを送っちゃいました!」


「…ムービーを送った?」
光彦君の予想外の答えに、ありすは思わず訊き返す。

「ええ、後日ちゃんとしたお礼がしたかったので、誰だか調べてもらおうと毛利探偵事務所に…元々キャンプの写真は送る約束でしたしね!ホラ、これがその彼女です!」

光彦くんのスマホを覗き込んだありすは、目を見開いて息を吞む。
——そこに写っていたのは、他人の空似では済まされないほど”彼女”にそっくりな女性の姿だった。


「でも、来週会えるかもしれないよ?だってあの女の人もミステリートレインのパスリングつけてたもん!」
「…パスリング?」
ありすが歩美ちゃんの嬉しそうな声に訊き返すと。

「うん、この指輪持ってる人が乗れるんだよ」
そう言って差し出された子ども達の手には、写真の女性と同じリングがあった。





煽る茜色
西空よりもなお
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