人気のない駐車場の片隅、ありすはスマートフォンのボタンを押すとおもむろに助手席に放り投げた。
1回、2回… 車内に響く呼び出し音を聞きながら、桜の花弁がはらはらと舞うのを眺めていると
「…ありすか、どうした」
馴染みのある、低いほうの声が聞こえてきた。
「赤井さん、変声機つけてないんですね」
「ああ、家にいたからな」
顔が見えないだけでこんなにやりやすいのか、とありすはぼんやり考える。
ここ数日感じていた違和感の正体は、ちぐはぐな声と顔だと再認識していた。
「…赤井さんは年齢を自由に操れるとしたら、どうしますか?」
「興味ないな。時間を過去にでも巻き戻せるのなら別だが…」
素っ気ない返答に、赤井さんらしいですね。とありすは笑う。
「毛利探偵事務所に灰原哀の写真が送られているはずです。…大人になった彼女が」
コードネームを持つ組織の科学者だったことを考えると”大人に戻った”と言ったほうが正しいのかもしれないが… ありすが知っているのは少女の姿、どうしてもこちらのほうが馴染んでいた。
赤井さんは、その言葉で多くのことを理解したようで。
そうか…わかった。そう言って電話を切った。
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それが理解を超えていたとしても