昼食を終え、”沖矢さん”が淹れたコーヒーを3人で飲んでいると、玄関の扉がガチャリと開く音がした。
誰だろう?とありすが入口のほうへ視線を向けると、キッチンの扉がゆっくりと開いて――
そこには、”昨晩会ったばかり”のコナン君がいた。
「…ありすさん?」
どうしてここに?と言わんばかりの驚き様に、ありすは苦笑いを浮かべる。
「こんにちは、コナン君」
コナン君はそのままキョロキョロと部屋の中を見回し有希子さんを見つけると、何か耳打ちしはじめた。まあ、どうして私がここに居るのかってことだろうけど…
暫く耳を傾けていた様子の有希子さんだったが、特に隠すこともなく声をあげる。
「当然でしょ?ここに住んでるんだもの」
「住んでる!?ありすさんがここに!?」
「…あら、言ってなかったかしら?」
コナン君は絶句したのち、また有希子さんに耳打ちをしている。
さしずめ「(死んだはずの)赤井さんと一緒に住ませるなんて、何考えてるんだよ」ってところだろうか。その様子を見るところ、親子説もあながち間違いではないような気すらしてきてしまう。
一時的に身体が大きくなった少女と、それを匿う少年――
ありすは昨日のことをぼんやりと思い出していた。
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「それで、あの話のことだけど…」
どうやら、私がここに住んでいることについて、有希子さんとの話は纏まったようで。コナン君も隣に座って、カウンターの中にいる沖矢さんに控えめに話し掛けていた。その声の様子から、コナン君がちらちらとこちらを気にする様子が窺える。ここで彼女の話をするのは憚られる、ということだろうか。
ありすは少し考えたものの、”沖矢さん”が気にしていない様子なのをいいことに、そのまま同席することにした。
「昨晩11時頃、毛利探偵事務所のパソコンに何者かがアクセスしていますね。その際に彼女の”姿”と”指輪”が目撃されています」
沖矢の言葉を聞きながら、ありすは昨晩のことを思い出す。
流出したのは、”大人”の彼女の姿と――
「…ベルツリー急行のパスリング」
ありすの心の声が、コナンの声と重なる。
「ええ、その人間も画像をその場で解析していましたので、彼女がベルツリー急行に乗ることを掴んでいると思って間違いないでしょう。もちろん毛利探偵や蘭さんが自分宛てに来たメールを確認しただけの可能性もありますが…」
沖矢の言葉に、コナンの顔が曇る。
「おっちゃんや蘭ねーちゃんじゃないよ…探偵事務所を閉めたらパソコンなんて使わないし、そもそもふたりともパソコンがそんなに得意じゃないから…」
「――だとしたら、犯人は”バーボン”だと考えるのが妥当かと」
”バーボン”――その言葉にありすの心臓が小さく跳ねる。
「やつらがベルツリー急行に乗り込んでくるのは間違いない。”彼女”を消すために」
暗闇からの侵入者
ジキルかハイドか