留守電を聞いた阿笠博士が折り返しの電話を掛けてきたのは、雨があがったしばらく後だった。
乾燥機で乾かした洋服を返して、玄関から子ども達を見送る。
空になった5つのマグカップをキッチンへ運ぶと、ちょうど帰る頃だったらしく、ランドセルを背負ったコナン君に声を掛けられた。
「ねぇねぇ、ありすさんは安室さんのこと知ってるの?」
てっきり、質問されるとしたら "彼女" か ”一般人の私” についてだと思っていたので、ありすは想定外の人物の登場に困惑する。
「えぇ、まあ… でも、どうして?」
「安室さんと事務所で会ったとき、ありすさんのこと聞かれたんだ」
「…私のことを、コナン君に?」
私とコナン君の関係をどうして知っているのだろう。
ありすは無意識に警戒するが、この展開も想像の範囲内だったであろうコナン君は、何事もなかったかのように続ける。
「ほら、キャンプの写真にありすさんも小さく写ってたから」
人目を避けたはずなのに。なのに、よりによって彼に見つかるとは…
ありすは己の不注意さに嫌気がさす。
「最近会ってないけど元気かな、って言ってたよ」
私がここにいるのはその"彼"に逢わないため――
とは目の前のコナン君にはなんとなく言わないほうがいい気がして言葉を濁す。
彼にとっては、この会話が私に伝わることまで織り込み済みなのだろうか。
もう何を答えていいかわからなくなったありすは、ただ曖昧に微笑み返した。
言の葉に零れる
澄んだ瞳の真意