快晴の空に、朝の風が心地よい。
静まり返った家で掃除と洗濯を終わらせると、大きく伸びをする。

「…さて、出掛けますか」

そう呟くと、ありすは素顔のまま家を後にした。


頬にあたる風が気持ちよくて、ありすは大きく息を吸う。
変装せずに出掛けるのはいつ振りだろうか、いつもウィッグとサングラスは必須アイテムとなっていた。

角を曲がって、差し掛かったのは喫茶ポアロ。
歩みを止めずにゆっくり通り過ぎると、そこにいるのは女性店員とマスターと思しき男性のふたり。

晴れた空、いつもの街。
私ができることはただ、無事に作戦が成功するのを祈ること。



ありすがぶらぶらと街を歩いていると、目の前の神社が目についた。
なかなか立ち寄る機会がなかった場所。こういう時は神頼み?なんて考えながら、なんとなく足を踏み入れると。

「…高木刑事?」

そこには、必死に探し物をする私服の高木刑事がいた。



「探し物、ですか?」
「え、えぇと…」

歯切れが悪い所を見ると、無くすといろいろと面倒なものだろう。
キャッシュカード、クレジットカード、免許証が入った財布とか…

「ポケットに入れてたはずなのに、ってとこですね」
「なっ…!? …えぇ、そうなんです」

肩を落とす高木刑事が気の毒で、ありすは眉を寄せる。

「それはまずいですね…手伝います、さっさと見つけましょう」
「ほんとですか!?ありがとうございます!昨日、ここで喧嘩の仲裁の為に提示したんですけど…」

提示、提示…? え…



「もしかして、無くしたのって手帳、ですか…?」

「え、あ…」
目が泳ぐ高木刑事を見て、ありすも血の気が引く。


「…それはまずいですね、ほんとうに」

ほんとうに、他人事とは思えない。

 
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