——みつけた。

安室はそう呟くとニヤリと笑ってハンドルをきった。



あのあとすぐに見つけたレシートには、
梓さんの話のとおりの”Corpse” と、車のナンバーであろう数字が示されていた。
猫の首輪が冷たかったとなると考えられるのは冷凍車で、そういう特殊な車は8から始まるはず。
でも、示されているのが8ナンバーじゃないってことは…
このレシートが示すのは、宅配業者のクール便に違いないというのが、安室の推理だった。

そして、お目当ての車両はちょうど、米花町2丁目の住宅地に停車している。
荷室の開いた扉の前には、制服の男がふたり――


安室は、トラックの後ろに大胆に車を乗りつけ、クラクションを鳴らす。
車から降りると、荷室の中には複数の人影があるようだった。

「すみません、この路地狭いから、ちょっと譲ってもらえますか。…傷つけたくないので」

安室の言葉に焦った男たちは、取り繕うように「ああ…」「いますぐ…」などと言って扉に手を掛けるが。
「た、探偵の兄ちゃん!!」
「たすけてー!」
これを逃すまいとした子どもたちの声が路地に響き渡る。



「…あれ、君たち何をやっているんだい?そんなところで」
安室がいかにもといった顔で問いかける。すると、

「い、いやあこれはそのう…」
必死に隠そうと荷室に押し込む気弱そうな配達員と、それに対抗する子ども達の攻防戦がはじまったところで、もう一人の配達員がニヤニヤしながらこちらに近寄ってくる。

「…てめいガキと知り合いか?」
「ええ、そうですけど」

「見られちまったら仕方ねぇ。ガキを殺されたくなかったら、あんたもコンテナの中に――」



…譲る気がないなら仕方ないですね。

安室は小さく笑うと、目の前の配達員に左ストレートをお見舞いする。
腹にパンチを受けた男は、泡を吹いてその場に倒れこんだ。


「言ったでしょ、傷つけたくないから譲ってくれと。…あなたもやります?」

安室が目の前で数回シャドーをすると、もう一人の気弱そうな男はその場にへたり込んだ。



やったぁー!と子どもたちの歓声が響く。
安室は子ども達を荷室から降ろすと、犯人をガムテープで順に縛りはじめた。

「じゃあコナン君、このことを警察に」
「う、うん」
安全が確保されたからだろうか、子ども達の声に元気が戻る。
「でもすっげーなーお前」
「あのレシートの暗号を見て来てくれたんですよね」


レシート?と安室はとぼけて答える。

「猫の首輪についていた妙なレシートなら、風に飛ばされてしまって見つけられなかったよ。ここを通りかかったのはたまたまさ」

そう言って安室が縛る作業を再開すると、なんでぇ。という残念そうな声が届く。


人命救助さえできれば、それ以上は不要だ。
偶然にしては出来過ぎていたとしても、こちらの手の内を明かすことはない。

 
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