『…お姉さんは、歳が離れていたんですか?』
人当たりの良さで隠した、情報収集力。
ありすは、初めて会った時のことを思い出していた。
”安室透”の素性を知るうえで、彼自身の周辺を探るのが近道かと思うものの…
あの鋭さを考えると無策で切り込むのは無謀だろう。
ありすは思案するが、すぐにあることを思い出す。
黒髪短髪の実直そうな男性…彼は飛田といっただろうか、確か学生時代の後輩と言っていた。
あれはまだ、赤井さんとの関係を知られる前、”ただの隣人”だった頃の話――
あの頃の言葉に嘘がないのであれば、飛田の学校から卒業生を探せるかもしれない。
もしくは彼から直接情報が得られるかも。
…本人に伝わるリスクを考えると、これは最後の手段にしておきたいけれど。
飛田につながる情報――
ありすは自室に戻ると、てはじめに”飛田”という名前で検索をかけてみるが、ヒットした膨大な結果をざっと眺めてみても特に有力な情報に繋がる様子はない。
さすがに情報が少なすぎる、かぁ…
ありすはそう呟くと、大きく息を吐いて天を仰いだ。
部屋の隅の時計にちらりと視線を向けると、気がつけば午後8時。
窓の外は深い闇に包まれており、あのバーも開いている時間――
ありすは安室と遭遇する可能性に少し躊躇したものの…
いつもの時間帯だったらリスクは少ないはず、と思い直す。
安室、そして飛田と会ったのは、いつもより遅い時間に訪れたあの一度だけ。
ありすは椅子から勢いよく立ち上がると、そのまま出掛ける支度をはじめた。
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