「えぇ〜!?水無怜奈をわざと組織に渡したぁ〜!?」
爆発直前で脱出したキャメルと、落胆した捜査官達が杯戸中央病院に戻って来たところで、ジョディの声が響き渡った。
赤井さんによると、最初からそのつもりでキャメルに運転手をやらせており、コナン君もその作戦に加担していたとのことだった。
「契約を結んだんですよ、FBI(我々)の釣糸になってくれと…このボウヤの策略に乗せられてね」
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ありすが呼び出された晩、水無怜奈を起こしCIA捜査員だったことを確認した赤井達は、前のように組織の懐に潜って色々と探ってもらうように話をつけていた。
「だから水無怜奈をわざと組織に渡したというわけか…」
ジェイムズが赤井の説明に深く頷く。
「えぇ、我々の狗ではなく、CIAの諜報員としてですがね」
「…この作戦、元はみんなコナン君が考えたの?」
動揺を抑えながらジョディがコナンに問いかける。
「ううん、赤井さんも同じこと考えているみたいだったから、2人の作戦を合わせただけだよ。赤井さんはこの病院から脱出するときに、キャメル捜査官の口からこの話を彼女に持ちかけるつもりだったみたいだけど…多分、その車の運転手にキャメル捜査官が選ばれて2人きりになるだろうからってね!」
この2人が結託していることはわかっていたが、ジョディから赤井に乗り換えるとはなんて末恐ろしい…ありすは少年を凝視する。そこには相変わらず利口だがどこか無邪気でいる少年がいた。
なんか、少しジョディが可哀そうに思えてきたかも…そんなことを考えていると、赤井が突然信じられないことを言い出した。
「まあ、キャメルに何かあっても、ありすが選ばれるだろうからな。”一般人”の顔を組織に印象付けるのはあまり好ましくないが、そうなれば仕方ないだろう…」
「…えぇぇ?!」
ちょっと何それ?!聞いてないって!!部屋の隅で聞いていたありすが絶叫する。
「いや、やれと言われたらやるし、車をドリフトさせてガードレールの切れ目に運転席のドアが来る絶好の位置に車を停めて爆発のタイミングで脱出しろって言われてもやるけど!絶対!やるけどさ!!」
「それなら何も問題ないじゃないか」
「そういう問題じゃない!」
赤井の鬼め…ぼそっと呟くと、すまし顔の赤井の横でコナン君が苦笑いを浮かべた。
ありすの抗議が終わると、ジェイムズがキャメルに向き直る。
「じゃあ彼女を奪われる寸前に君が殴られたあの音も偽装だったのかね?」
「えぇ、殴られて気絶した振りをして車を止めろと赤井さんから指示を受けていたので。でも、まさか本当に殴られるとは思っていませんでしたが…」
キャメルが苦笑いを浮かべると、赤井が口を開く。
「そうしてくれと彼女に頼んだんだ…万が一お前が殺されていた場合、お前の首筋に殴られた跡がないと水無怜奈の身が危うくなるからな」
「そ、そうですね…」
キャメルの顏が引き攣っている。そして、ありすも自分の表情が引き攣っているのを感じていた。
考えうる限りの最善策。最善策、だけど、これはきっと向けられた側にしかわからない気持ちだよなぁとありすは溜息をついた。
…なんかキャメルとは仲良くなれそうな気がする。
「でも、それならそうと教えてくれたっていいじゃない!」
作戦を知らされていなかったジョディ達の怒りはごもっともだが…
ありすはいつもの事だとまた溜息をつく。赤井さんの自由っぷりは今に始まったことではない。
それにどうやら赤井さんは、水無怜奈が得た情報をCIA本部に報告した後でFBIにも流すということで話を付けたようだった。
「そ、そんな要求、よく彼女が飲んでくれたな?」
ジェイムズが驚きの表情を浮かべると、赤井さんは、当然それに釣り合う条件——証人保護プログラムの本堂瑛佑への適用——を提示されていた。
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