「発信機!?」
ジョディの叫び声が病室に響き渡り、ジェイムズが静かに口を開いた。

「爆弾付きの植木鉢を私に送りつけたのも、3つの事故を同時に起こし、この病院をパニックにしたのも、その騒ぎに乗じて大量の爆弾を配送したのも…すべてその発信機でこの水無怜奈の病室を突き止めるためだったというわけだよ…」
「じゃあ、組織はもう…」
「あぁ、此処を睨んで笑みを浮かべながら、次の手を打っているところだろう…」

「ど、どうします?」
この場の全員の心を代弁するような言葉に、ジェイムズが語気を強める。

「こうなればここに長居は無用!これより最終手段を取る!!」



******



3台の車に分乗することで組織を攪乱しつつ、この病院から脱出する。
そうジェイムズが告げると、突然コナン君がねぇ、と声をあげた。
「ボクの知り合いのおじさんのビートルに乗せて運ばない?後部座席なら寝かせられるし…その悪い人達はきっとストレッチャーが乗せられる大きい車で運ぶって思ってるだろうから、絶対にバレないと思うよ!」
「そ、そうかもしれないけど…」
ジョディの困惑に、ありすも同調する。さすがにそれはリスクが高すぎる…

「じゃあボク、外に出て電話で呼ぶね!すぐに来てくれると——あ…」
部屋を出ようとしたコナン君がジャケットから携帯電話取り出すが、赤井さんがそれを取り上げる。
「いくらボウヤでも、そいつは出来ない相談だ…これはわれわれFBIの仕事、これ以上一般市民を巻き込むわけにはいかん」
「でも…」
「あとは我々に任せるんだ」
赤井の言葉に、コナンはおとなしく携帯電話をポケットに仕舞った。

「では、まずは各自回収した爆弾から発信機を見つけ、それを潰してから…」
ジェイムズが改めて指揮を執ると、赤井がそれを遮る。
「いや、潰すのは私の話を聞いてからにして頂きたい。今のボウヤの言葉で思いついたんですよ!奴らの目をくらまし、水無怜奈をここから連れ出す妙策を!」



******



赤井の案はこうだった。
1台目は運転席と助手席に2人、後部座席に寝かせた1人とそれを囲うように6人。寝かせた1人以外は全員発信機を持たせる。
2台目も1台目と同じく9人だが、発信機はなし。
3台目は発信機を持った2人…運転手と、助手席の水無怜奈。
水無怜奈をすぐに動かせなかったのは昏睡状態だから…そう考えると3台目はまずダミーとして除外されるだろうということだった。


赤井の案を聞いて、確かにそれなら奴らを欺けるかもしれん。とジェイムズは深く頷く。
「ただ問題は、水無怜奈を乗せた車を誰が運転するかだが…」
「そうですね、万が一奴らにバレ、振り切らねばならない局面に陥った時の事を想定すると…臨機応変に行動でき、この周辺の地理に明るく、なおかつドライブ技術を備えた人物——」
「それは赤井君!君しかいないだろう」
「いや、私は避けたほうがいい…奴らが真っ先にチェックするのは私がどの車に乗っているかでしょうから」
「となると、ありすぐらいか…本来ならば彼らに顔を知られることは避けたいが…」
ジェイムズが顎に手を当てて考えていると。

「ここはやはり…私でしょうかねぇ?」
そう言いながら、キャメルが手を挙げた。

「おお!爆弾処理の時に活躍してくれたキャメル君か!」
ジェイムズの眉間の皺が少し薄くなる。へぇー、赤井さんこれがやりたかったのね...ありすはそう悟ると、何事もなかったかのように口添えする。
「私も、彼なら適任と考えます」


「死の恐怖は死そのものより人を悩ます…臆するなよ」
赤井がキャメルに告げると、キャメルは人相の悪い顔で怪しく笑った。

「ええ、もとより死は覚悟の上…どーせ死んでも悲しんでくれる家族はいませんしね」

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