輸送の準備へ向かうキャメルを思い詰めた顏で見つめるコナン君。ありすは何か声を掛けようか迷うが、本人はありすの視線には気付いていないようだった。
そして、コナンに同様の視線を向ける人がもう1人——
「そんな顔をするな、この作戦の成功は必須だ。それとも俺の保証だけじゃ…不安かな?」
「いや、全然…」
相変わらず表情を変えない赤井さんは、どこまでも赤井さんだ。
「で、私は自由にしていいみたいなんですが、何かやることあります?」
ありすは部屋を去ろうとする赤井に声をかける。
「いや、すべてキャメルに任せてある」
「ちなみにコナン君は?」
「俺の車に乗ってもらう、ボウヤもそのつもりだろう?」
「うん」
「わかりました。じゃあ私はジェイムズとここにいます」
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「1号車2号車3号車、すべて準備整いました!」
程なくして、輸送準備が完了。これからはジェイムズと連絡を受ける為に残った捜査官が2人、そしてありす以外は誰も病院からいなくなる。
「ウム!ではこれより水無怜奈を連れてこの病院から脱出する!3台とも指示通りのルートを走行し、囮の2台は出来る限り組織の目を水無怜奈を乗せた車から遠ざけてくれ!なお、通信回線は開けたままにし、何かあればすぐに私に連絡するように!」
「「「了解!!」」」
ダークブルーのバンが1台ずつ駐車場を離れる。
通信回線は、輸送車3台、この駐車場、そして赤井さんの車が1台持つことになった。
ジェイムズから輸送車3台へと定期的に確認が入り、残ったメンバーもそれを聞き入る。
最初は順調に進んでいるように見えたが——
「こちらキャメル、黒いポルシェとバイク4台が背後に迫ってます」
キャメルからの報告を受け、ありすを含む待機組に緊張が走る。
「なに!?まさか組織に気付かれたのか!?」
「えぇ、恐らくは…でもまぁ、あんな奴ら、私のテクで振り切って…」
キャメルの話が、ゴツッという鈍い音と共に途切れる。
「お、おい、どうしたキャメル君!?キャメル君!?」
ジェイムズの声で焦りの色が濃くなった時。
ブレーキ音だろうか、耳をつんざくような音がしたかと思うと、ガンッと大きな音がして――
数秒後、爆発音とともに回線は不通となった。
駐車場に残った捜査官が現場に向かい、無線先の2台のバンからも落胆と混乱の声が聞こえるなか、ありすは静かに思い出していた。
――この作戦の成功は必須だ。それとも俺の保証だけじゃ…不安かな?
――いや、全然
水無怜奈輸送作戦
赤井の保証