『本日夜、来葉峠で1台の車が炎上し、中から1名の焼死体が発見されました。炎上したのは――』
ニュースキャスターの声が、暗い部屋の中で響き渡る。画面に映るのは、煤けた黒いシボレー。
ありすは焦る気持ちを抑え、自室のTVを食い入るように見つめる。一瞬映った車のナンバーを確認すると、それはやはり、
「赤井さんの、車…」
赤井さんは、ジェイムズに『信じてくれ』と言った。きっと赤井さんには何か策があって、それで、きっと、だから、信じなきゃ…
混乱する頭によぎるのは、赤井さんの笑った顔と、
『いざというときに信頼できる人間を置いておきたいと思うのは当然だろう』
『お前ならキャメルと同じようにやり遂げたはずだ』
幾度も感じた違和感――
でも、きっと、そのうち、赤井さんから連絡があって、それで…
ありすは体中の血液が沸騰しそうになるのを感じながら、携帯電話を強く握りしめ——ただじっと目を閉じた。
******
どのくらい経っただろう、手のひらの携帯が鳴る。
焦る気持ちで通話ボタンを押すと、その相手はジョディだった。
「来葉峠の遺体の指紋、コナン君の携帯電話のものと…一致したわ」
「それって…」
「シュウが水無怜奈搬送の時に触った携帯よ…」
どうやってジョディの電話を切ったのかよくわからないまま、ありすは暗闇で立ちすくむ。
赤井さんの真剣な顔、笑った顔、優しい瞳、低い声、大きな手、煙草の匂い…
赤井さんはずっと私の目標であり、指針であり、支えだった。
13日の金曜日
ありすは俺の懐刀だ、それを忘れるな