正午前、ありすがダイニングへと顔を出すと。
昨晩ホテルへと戻っていった有希子さんと、”沖矢昴”がいた。
「有希子さんいらしてたんですね。それにしてもすごい…」
ありすはまじまじと沖矢の顔を眺めるが、赤井秀一の面影はどこにもない。
目元、口元、耳元に生え際—— どこを見ても違和感などなく、ただただ感心するほかなかった。
「でしょ?素顔も素敵だけど、こっちの顔も結構いい感じに仕上がってるのよねー!」
「むしろトゲだらけの雰囲気が消えてこっちのほうが好印象です」
「あら、ありすちゃんは沖矢さん派?」
「そりゃあ…こっちのほうが万人受けしそうで、色々とやりやすそうですから」
そういうと有希子さんはふふふと笑った。
沖矢さんも何か言いたげだに見えたが、あまりに好き勝手言ったせいだろうか、途中からあきらめて口を噤んだようだった。
ひと通りその容姿について話したあと。
「さて、全員揃ったことですしお昼にしましょうか。ありすさん、セッティング手伝っていただけますか?」
「…赤井さん、”ありすさん”って呼ぶのやめません?」
「いえ、沖矢ですので。どうぞお気になさらず」
「…なんか調子狂うんですけど」
飄々とした沖矢の姿と、顔を強張らせたありすの表情。
有希子さんの笑い声だけが部屋中に響いた。
陰日向
A secret makes ...