ピンポーン――


夕暮れ時。玄関の扉を開けると、つば広の帽子を被って佇む女性がにこりと微笑む。
そのまま男が家の中へ招き入れ、ふたりが廊下に差し掛かったところで、女性はふと足を止めた。
視線の先はリビング、ソファーにはブランケットを纏って眠る人影。
女性が驚く表情を見せると男は口元に人差し指をあてて、無言でダイニングキッチンへと促した。



「で、あの可愛らしい子は…ガールフレンド? でもどちらの姿のときかしら」
女性は部屋に入ると手慣れた様子で荷物を置き、アイランドキッチンの対面カウンターに座る。

「彼女は”赤井秀一”の昔からの知り合いです」
「…昔から?」
「ええ、”沖矢昴”について話して協力してもらおうと思いまして…どうやら、彼女をこの” 事故”に巻き込んでしまったようなので」
「それって大丈夫なの!?」

「ええ、今のところ大きな問題は起きていませんが、場合によっては…
 いずれにせよ彼女にはしばらく、目の届くエリアで生活してもらうことになるかと。


 彼女は『こちら側』に繋ぎとめておかなくてはならない人間ですから」


  
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