赤井さんに詰め寄って散々泣きわめいた挙句、疲れ果てて寝てしまったようで。目が覚めるとありすはソファーに横たわっていた。身体を起こした拍子にブランケットがパサリと落ちる。寝ていた間に掛けてくれたのだろうか。
「いない…」
部屋の中を見渡すも、向かいに座っていた赤井さんの姿も、用意されていたティーセットの影もなかった。首を傾げつつも耳を澄ますと、部屋の外からカチャカチャと無機質な音が聞こえていることに気づく。
廊下に出たありすがその音が向かいの部屋から聞こえていることに気づき、そっと扉をあけて顔を覗かせると。
「赤井さ…!?」
そこにいたのはアイランドキッチンに立つ赤井さんと、その向かいに座る女性。
赤井秀一の姿を見せられる女性!?…こういう場合は彼女、とか!?
混乱する寝起きの脳裏を過ぎったのは、宮野明美――もしかしたら彼女のような協力者かもしれないということ。
むしろ純粋な彼女のほうが話は単純だ。赤井さんは目的のためなら何でもやりかねない…状況が読めないし、何より良い予感が全くしない。
「わ、私はこれで…」
ありすがとりあえず帰ろうとすると、その女性が笑顔で口を開く。
「あら、ごめんなさい。起こしちゃったみたいね」
振り返るその姿は洗練されていて、大人の余裕を感じる。
どういう状況かわかんないんだけど、赤井さんの女性関係(もしかしたら本人はそう思ってないかもしれないけれど)に巻き込まれるのは御免だ。
「いえ、私はこれで――「ありすも座ったらどうだ」
赤井さんに遮られた言葉が行き場を失う。
赤井さんは一体何を考えてるのか…ありすは数秒の沈黙ののち、諦めて頷くと部屋へと足を踏み入れた。
ALICE+