深夜12時を回った頃、部屋の扉が突然ノックされる。
「ありすちょっといいか?」
扉の先には”赤井秀一”の姿をした同居人がいた。
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ダイニングテーブルに座ると、レモンバームティーが運ばれてきてありすは驚く。それは、カゴに閉じ込められた不自由なありすが、ネットショッピングで手配した数少ないもののひとつだった。
「…ありがとうございます」
カップを両手で包むと、ほんのりとした温かさが掌から伝わる。立ちのぼる爽やかな香りに気持ちが和らぐ気がした。
暫くの沈黙のあと、向かいに座った赤井さんはロックのウイスキー片手に口を開く。
「バーボンが毛利小五郎の近くをうろついている」
「安室さん、が…」
「気になるか?」
ありすは思わず押し黙ってしまう。
気にならないといえば嘘になる。でも、どうしてこんなに気持ちがざわつくんだろう。
言葉に窮するありすがそのまま黙り込んでいると。
さっきの話だ、と赤井は口を開いた。
「江戸川コナン――彼が誘拐されたと毛利蘭から阿笠博士のもとへ連絡があった。そこで博士たちと追跡メガネをもとに車で追跡していたが…その現場にバーボンが運転する車が現れた。同じく彼らを探していた毛利小五郎とその娘を乗せてな」
「毛利探偵と、蘭ちゃんを乗せて…?」
「あぁ、バーボンは彼らとずいぶん親しい様子だったよ」
毛利小五郎と安室さん、何の接点があるのだろうか――
ふと、安室さんの人懐っこい笑顔を思い出す。
安室さんが彼らに取り入ることなんて、きっと造作もない。だけど…
「目的はわからないが、いずれにせよバーボンが動き出した。注意しておくんだな」
傾けられたグラスの氷がカラカラと音をたてる。
その様子を眺めている赤井さんは、どこか楽しそうにみえた。
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