次の日の午後。
自室でPCに向かっていると、部屋の外でバタンと大きな音がしたことに気づきありすは手を止める。扉の音?いや、赤井さんは普段扉を乱暴に開閉するようなタイプではない、とそこまで考えたとき。
「昴さん!ちょっと図書室で探し物するね!!」
聞いたことのある声に続いて、バタバタと足音が響く。この声は…
ありすが部屋を出て吹き抜けの2階から玄関を見下ろすと、玄関には乱暴に脱ぎ捨てられた子どもサイズの赤い靴。どうやら声の主はコナン君で間違いなさそうで、ありすが部屋へと引き返そうとしたとき。
ガチャ。と再び玄関が開く音がして、ありすは咄嗟に物陰に隠れる。
「お邪魔しまーす」
聞いたことのない声に戸惑いながらもそっと玄関を覗き込むと、手慣れた様子で家へと上がりこむ女子高生が3人…ひとりは毛利蘭ちゃん?
そこでふと、コナン君が毛利探偵事務所に住んでいることを思い出す。コナン君を探しに来たのだろうか、彼女らは手慣れた様子で家へと上がりこんだようだった。
「でもさぁ、昴さんって前から気になってることあるんだよね」
「え、なになに?」
遠ざかる声のなか、”昴さん”という言葉に反応して聞き耳を立てる。
「あの人いつも首元隠すような服ばっかり来てるじゃない、だからきっと首に恥ずかしいタトゥーとか入れてて、隠しているんじゃないかってね」
ありすは彼女たちの洞察力に感心すると共に、その想像力を讃えたくなった。
恥ずかしいタトゥー…首元にハートや天使の羽を携えた赤井さんを想像して、ありすは笑ってしまいそうになるのを堪える。うん、赤井さんには絶対に似合わない。
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その後、彼女たちはコナン君に促されてキッチンで待つことにしたようで、気になったありすはその様子をドア1枚を隔てて伺っていた。
「やっぱ新一君隠してるんじゃないかなぁ、エ・ロ・本!」
「園子ってば、そんなことあるわけ…」
「いや、隠してるのは女の存在かもね」
「ちょっと世良さんまで…」
「見ろよこれ、髪留めのゴム、この棚の上に置いてあったぜ。女ってついついこんなとこに置いちゃうんだよなぁ」
「あ、ああ、きっとそれ新一のお母さんのだよ、ねえ園子?」
「うん、そういえばよく髪まとめてたし…」
「ん?でも、洗う前の食器の中に、口紅を親指で拭ったグラスも混ざってるよ?そして、洗い場の排水溝には長い髪の毛…かつらの毛みたいだけどね」
「ま、まさか新一のやつ女を連れ込んで浮気を!?」
グラスは昨晩私が使ったもの、長い毛は先日有希子さんに貰ったウィッグだろうか。そして髪ゴムは、多分有希子さんのものだけど…彼女たちは一体何をしに来たのだろう。突然始まった家捜しにありすは困惑する。
「っていうか、工藤君は暫くこの家を空けてるんだろ?普通に考えたら、さっきの昴って男が連れ込んだ女なんじゃないのか?」
”昴って男が連れ込んだ女”
まあ平たく言ってしまえばそうなるんだけど…ありすが苦笑すると。
「ねえ、写真持ってきたけど、何の話?」
コナン君の声がして何やら事件の話が始まった。
Melissa
雪解けの音