声が聞こえたのは、多分4年位前だと思う。
"また難しそうな本読んでますね~?"
その声と同時に、自分が2つに割れた気がした。
痛くもなければ、消える感覚もない。
目の前には、もう一人の自分。
現実にはいない、私にしか見えていない自分。
普通なら驚くはずなのに、何故か怖い感じがしなくて。
"…あなたは?"
その表情は一瞬だけ悲しそうで、だけど次の瞬間には少しイタズラな笑顔を浮かべていて。
"こんにちは。綾瀬"
もう一人の自分は、私にそう言った。
それが、"私達"の出会いだった。
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