変わらない一日
今日もいつもと変わらない日差し
ギルドの荒くれ者に、賑わう街のマーケット
みんなそれぞれが何かの動物のような特徴がある
僕の名前はナチラス。大きな長い垂れ耳がある
うさぎの中でもとりわけ優しい…と言えば聞こえがいいが、生存競争の中では下部に存在するラップイヤーの血が僕の身体の中には流れている。
この世界の中で多くを占めているのが動物の亜人で、今僕がここにいるこの国は動物の亜人の国、国といっても大きな集落のような国だ。
統率するような者は、今はもういない。
強いものが正義。
それが僕が生きる国、サマリスの集落だ。
「ナチー!」
大きな声で僕を「ナチ」と呼ぶのは少ない。
僕の家族くらいだ。
今読んだのは、死んだ兄の残した義理の姉フラメシュ。うさぎの血を持つ中でもとりわけ珍しい満月うさぎの血統一族の女性だ。
僕のような垂れた耳と違い、紅い目、全身の白い毛、そして特徴としてうさぎ族の中でも最強の戦闘民族と言われていた。
その中でも義姉ちゃんは姫として崇められていたが、義理の兄サイラスと駆け落ちのように結婚し、ほんの数年でサマリスをまとめ上げ死んでしまった。
今でも兄の功績はこの国に刻まれている。
恥ずかしいことに、僕の集落には彼の像が岩に刻まれていた。
「今日はどこまで潜ってくるの?」
「昨日4層の入り口の手前まで掘れたから、大体4、5時間で戻るよ。」
「そ!あんまり無理しないで、しっかり稼いできてね!」
「姉ちゃんも。あんまり悪いお客さん相手にしちゃダメだよ」
「何言ってるの。私が負けるわけないじゃない。
まだまだ腕は落ちてないわよ」
姉ちゃんはマーケットの一角で他のうさぎ族と一緒に甘味屋を営んでいる。
美しい毛並みで容姿のいい姉ちゃんはよく荒くれた戦闘ギルドの人間に絡まれることが多い。
とはいっても、姉ちゃんも兄と同様、サマリスをまとめ上げた戦いの主要メンバーの一人だ。下手なことがない限り誰も手は出すことはない。
僕なんて居たところでなんの役にも立たないほど強い姉ちゃんだ。
「団子、少し包んでおいてやったから、小腹が空いたら食べな」
「ありがとう姉ちゃん。行ってくるよ」
団子の入った包みを荷物に入れて、僕は僕の職場、鉱山跡地に向かった。
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