※今回は短めで終始龍樹視点です。
※時系列だと諏訪さんがやられて風間隊がラービットと交戦してる辺り。
大規模侵攻前日に龍樹は迅にあることをお願いされる。
その日は平日で下校時に校門に立っていた。
恥ずかしさで顔を真っ赤にして知らないふりをして通り過ぎようとする龍樹の手を迅は取る。
「知らないふりはやめてよ。俺だって傷つく。」
「だ、だったら普通に連絡してください!」
「それだと約束すっぽかすってサイドエフェクトが言ってたからさ。」
「…っ。」
言い返せないのか何とも言えない唸り声をあげて手を話そうともがく龍樹。
「ここじゃ注目集まるし、どこか入ろうか。」
夕飯までは少し早く龍樹の好物の餃子が出るために気を使って彼は喫茶店に入る。
*
「2名で、禁煙席空いてますか?」
「はい、2名様ですね。こちらへどうぞ。」
品のいい喫茶店で二人はソファに腰を下ろしてメニュー表に目を通す。
店員が水を持ってくるついでに龍樹は注文をし、迅も同じものでと答える。
店には人はまばらで話をするのにはちょうどいい。
「それで、話って何ですか?二人きりにならなくても…。」
気まずそうにもじもじと手を構う龍樹に迅は頬杖をついて笑う。
「龍樹とゆっくりする時間が欲しかったのは本心からだよ。」
「それだけじゃないでしょ。」
今までの彼の言動で大体は理解する。
二人きりで話をするときはとても重要なことをあたし自身に伝えるときだと。
「まあ、単刀直入に言えば今度の大規模侵攻についての妹ちゃんの事、それに龍樹自身の事かな。」
「…あたし、自身。」
動揺でこげ茶の瞳孔が見開かれる。
その顔に迅はやはりこうなったかと少し心苦しく思う。
「別に死ぬわけじゃない。
安心して二人とも最悪の事態は俺が起こさせないから。」
心配させまいと彼女の手を優しく包み込む迅だがその手を勢いよく振り払う。
「ご、ごめんなさい。
別に先輩が悪いとかじゃなくて妹にもしものことがあったらと脳裏によぎって。」
トラウマによる怯えをどうしたら解消できるかと頭を悩ませる。
だが彼女にどうしても渡さなければならないものがあるのも事実。
「龍樹、よく聞いて。
龍樹が強い事は俺もそして玉狛のみんなも認めてくれてる。
それを知った上で今回の大規模侵攻で役割を背負って欲しい。」
無理を承知で彼女に頭を下げると震える声で頭をあげてくださいと聞こえた。
「正直、どこまで役に立つかわかりませんが微力ながら協力したいです。」
決意の瞳にやはり彼女には敵わないなと迅はため息を漏らす。
「じゃあ一つだけ約束、絶対に何があってもトリガーオフしない事。
後、欲張って誰かを助けようだなんて思わない事。
この二つを約束できるならいいものをあげるよ。」
「いいもの?」
キョトンと首を傾げてる間に店員がホットコーヒーを二つ運んでくる。
「兎に角、俺のいないところで無茶しないって約束できる?」
「それくらいならできますよ。」
即答され、わかってないなと肩を竦めつつ、だが渡さないことには彼女の未来が最悪の方向に向かう事となる。
そうならないためにも迅はあるトリガーを机に置いた。
「これは龍樹が入隊時の時から開発を進めてたトリガーだ。」
「何故このトリガーを?」
「これを渡すのはあくまで龍樹に戦って欲しいわけじゃない。自分の身を守るために渡すんだ。
だから、そこのところ履き違えないでよ?
今回の大規模侵攻は通常トリガーだと太刀打ちできない局面が必ずでてくる。
その時に使って欲しい。」
「…わかりました無茶はしません。
きっと先輩の役に立ってみせますから心配しないでください。」
厳しい顔で言う龍樹。
コーヒーを静かに飲む姿は大人びているが迅より一つ下の少女だ。
本当なら三門市にこの姉妹を遠ざければいい話だがそれは言うだけ野暮な事だろう。
この侵攻を乗り切って始めてこの姉妹は蟠りが解消されるのだから。
ある意味これは賭けだ。
(…龍樹の笑顔さえ見られればいいってものじゃないしな。)
彼女の見る世界全てを守りつつまた彼女自身が強くなって行けばいい。
それでより良い未来が築けるなら本望だ。
「先輩、冷めますよ。」
幾分か気が楽になったのかいい顔をしている龍樹が飲むように促す。
少し冷めたコーヒーは苦味が増していた。
*
緊急招集がかかり、三年生の教室から飛び降りる。
「トリガーオン!」
換装が完了し、すぐさま着地体制に入る。
窓から先生や荒船の怒鳴り声が聞こえるが御構い無しだ。
(早く、三毛島さんと合流しないと。)
逸る気持ちで足を動かす。
見慣れないトリオン兵がチラチラ見えるが、まずは合流だ。
『あーあー聞こえる?龍樹ちん。』
「聞こえてますよ、三毛島さん。
今合流します。」
視覚情報を共有して三毛島の位置を捕捉している龍樹は足を早める。
だが道中、モールモッドやバムスターをギムレットで倒す。
(弱点狙いの集中砲火も数が多いとやりにくいわね。)
戦闘中、三毛島隊、オペレーターである小湊千聖の通信が入る。
『諏訪隊が新型トリオン兵と交戦中!
龍樹先輩も気をつけてください!
なんか二足歩行で走行が硬いらしいです。
へ?諏訪さんが食われた?』
「食われたって…ベイルアウトできるはずでしょ?」
『風間隊が対処に向かうそうです。』
ベイルアウトが出来ないトリオン兵なんて今まで聞いたことがないと龍樹は動揺する。
だが、その動揺も束の間、目の前に新型と思しきトリオン兵が現れる。
「小湊さん、なるべく新型の情報をくれないかしら?
今から交戦するから。」
『は、はぃ?ちょっと龍樹先輩なんと言いました?』
「だから、新型の情報をくれって言ってるのよ。
交戦するから。」
『でも本部からはなるべく固まって戦うよう指示が…。』
「そうも言ってられないみたい。」
新型は龍樹を認識したようで猛スピードでこちらへ向かってくる。
スコーピオンとアステロイドを構え臨戦する。
さぁ、大規模侵攻が始まった!
【To be continued】
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