※最初は冨岡さん視点
※原作にまだ入りません。
※冨岡さんが原作の5割増し喋ります。会話が成立してます。
※原作にはない鬼の特殊設定ありです。
※こんな喋る冨岡さんなんて嫌!オリジナル設定なんて地雷!と思う方はブラウザーバックで!
蝶屋敷にて保護した少女を手当てし、様子を見張ることに。
数日間、彼女は熱に浮かされうわ言のように義姉の名前を呼んでいた。
夜月は報告書の作成、胡蝶は他の患者の診察。
しばらく任務のない俺は少女の見張り役を頼まれた。
無理もない、生きる術も知らず唐突に連れてこられた一般人が混乱して死のうとされたら胡蝶もたまったものではないと思う。
求めるには退廃的で哀愁と憐憫がは付き纏う。
嗚呼、何故この少女は俺に似ているのだろう。
そっと青白い頬を撫でれば目がうっすらと開かれた。
失ったものを諦めたその目。
錆兎ならどうしただろう。
同情の言葉を述べるのだろうか?
「殺してください。」
そう言って少女は涙を流した。
それはできないと首を横に降る。
「ならせめてここから出してください。」
と懇願される。
野垂れ死ぬ気か?と問うと。
「何で私なのですか?
あの日あの場で食われていたらこんなに悩む必要もなかったのに!」
シーツを叩こうとする手をそっととる。
わかる…わかるのだ。
あの日、あの時、救えなかった俺と同じだ。
過去の幻影を見るだなんてどうかしてる。
「離してください。」
「…。」
何も言えず、手を振り払われ立ち上がろうとする少女。
だが、数日寝ていたとはいえ、体力と筋力は確実に落ちている。
案の定、ふらふらとへたり込む。
「そんな身体でどこへ行く。」
本来なら止めるべきだろう。
だがうまく伝えられない。
俺はいつもそうだ。
「…あなたには関係ありません。
助けてくださった恩義は感謝します。
ですが、私は災いを寄せる一族の末裔。
だから死ななきゃ。」
そう言って無理に立ち上がろうとした少女を抱き止める。
俺にしては随分性急な行動で普段からは想像もできない事だった。
だが、そうせねばこの少女は本当に壊れてしまうと思ったのだ。
「お前が何を背負っているかは知らん。
だが、恩義を感じているのなら生きろ。」
「…それは同情ですか?」
「…ああ。」
同情と自分が死ねば解決するなどという逃げを否定したかった。
ただそれだけだ。
「そうですか、お優しいのですね。」
紅玉の瞳が俺を捉える。
美しいと感じ、思わず声に出して言えばクスリと笑われる。
「そう言われたのは二人目です。」
「…。」
「私の義理の姉さんがいつも言っていたのです。
私の目は紅玉の様に美しいのだと。
ですが村の人々は皆、私の事を忌子だと口々に罵り、あのあばら家に押し込んだのです。」
そして彼女の身の上話が始まった。
要約するとあの村では数年に一人、白子が生まれる。
その子供は血液から梅の香りを漂わせ、災いを寄せる。
だがら忌子として村外れの森に置き去りにしていたらしい。
だが、その少女が生まれた翌年から神主が面倒を最低限見る事を条件に森にあばら家を建て住まわせていた。
村には降りてはならないとキツく義姉に言い聞かされていたがその日、不幸にも迷い込んだよそ者を村へと案内したら鬼だったという。
その鬼は分身を作り、あっという間に村人を食い始めた。
結果的に彼女は騙されていたのだ。
外の世界を知らず乏しい知識と親切心で行ったことが裏目にでるとは思いもよらないだろう。
自分も命からがらあばら家に戻り、義姉とともに逃げようとしたが後をつけられていたことに気がついておらずあのざまだ。
それが事の真相である。
「…そうだったのか。」
「私があの人を村まで案内しなかったら!
義姉さんの言いつけを守っていたら!
こんなことにはならなかったのです。
だから私は罪人として裁かれるべきなんです。
のうのうと生きてちゃいけないんです。」
ワッと再び泣き出す彼女。
だが、それを聞いても俺は彼女を生かしたことに後悔しなかった。
錆兎が俺を支えてくれた時の様に彼女の支えになれればあの時の罪滅ぼしができるとさえ思ってしまう程に。
「…代わりでいい。」
「え?それはどういう?」
「生きることが罪なら俺も同罪だ。
だから義姉の代わりでいい。死ぬな。」
とにかく生きる意味が欲しいのだろう。
俺もそうだった。
生きる意味が必要なら与えてやる。
だから生きて欲しい。
そう言えば彼女は涙を引っ込めて口を開いた。
「それじゃあ、約束してください。
私がもし、鬼になったら貴方の手で始末してくれますか?」
「…まて、話が読めない。」
「先程も説明した通りです。
私には鬼の因子が流れてます。
今はまだ覚醒してません。
ですが完全に鬼として覚醒してしまったらもう私は生きる必要がなくなります。
ですので私を生かすというのならその責任を背負ってくださいね?」
そう、自嘲気味に笑う彼女。
その手をそっと握り俺は誓いを立てる。
「嗚呼、約束する。
お前が鬼になったら首を切ろう。」
「…よかった、貴方にならいいです。」
そう柔らかく呟き落ち着く彼女。
頃合いだろうと騒ぎを聞きつけた胡蝶が入ってきた。
「お加減はいかがでしょうか?」
「あっ、はい、ご迷惑をおかけしてます。」
深々と頭を下げる少女。
「病み上がりのところ申し訳ないのですがこれから貴女の処遇を決めるため、柱合会議にかけるのでご同行を。
冨岡さんも異論はありませんね?」
「…ああ。」
「処遇ですか?」
彼女はキョトンと首を傾げていう。
しまった!説明し忘れたと冷や汗をかくが時すでに遅し、胡蝶は機嫌悪く話し始める。
「すみません、貴方達の話を盗み聞くつもりはなかったのですが貴方の村の事は報告させてもらいました。
お分かりかと存じている様ですが今貴方は、危うい立場にいます。
鬼として処分されるか人として我々の組織に入り戦うか。
どちらにせよ貴女に拒否権はありません。ですので抵抗はしないでくださいね?」
少々威圧的な笑みを浮かべる胡蝶にたじろぎながらも少女は従う。
*
病み上がりというとこで隠に目隠しをされ、背負われて移動する。
最も、紅梅にとって気配の察知は敏感であったから目隠しされても屋敷までの距離や道はある程度把握できのだが。
産屋敷邸に辿り着き、降ろされる。
「ありがとうございました。」
隠に礼をいい、目隠しを取ってもらう。
申し訳なさそうに縮こまる少女。
それを他所に柱である10人の剣士が勢揃いする。
「お館様のおなりです。」
障子が開かれ和服を着た少女らに手を引かれた男性が縁側へと出てくる。
「やぁ、皆、半年間ご苦労だったね。
特に義勇と紫は此度の任務お疲れ様。」
男性が労いの言葉を投げ掛けると二人は深々と頭を下げる。
「勿体無きお言葉です。お館様もご健在でなによりです。」
「…同じく。」
「うん、それでその子が天珠村の例の子かな?」
首だけを動かして色素の薄い瞳が紅梅を捉える。
「は、はい。」
「名前を教えてくれるかい?」
「紅梅と申します。姓はありません。」
お館様の声に安心し、自然と素直に名を口にする少女こと紅梅。
彼はその髪色と目に天珠村の伝承と鬼舞辻という鬼の関係について話し始めた。
時は平安京、嫉妬深い村娘が帝の寵愛を受け側室にと宮入りし、その姫は天珠姫と名付けられる。
帝の寵愛を受ける一方、鬼舞辻は平民の出の彼女を疎ましく思っていた。
そして、天珠姫を鬼舞辻は陥れ嫉妬に狂わせた。
その苦しみの力のみで鬼と化し殺傷沙汰を起こし生まれた村へと返された。
鬼舞辻の血で鬼となったものではないので理性があったという。
その後、その娘は死ねない体に苦しみ村の男と夫婦になり子を儲けて漸く人として死んでいったという。
その死体から梅の木が生え、花が咲き、その村は一時的に活気付くという伝承が生まれたそうな。
天珠姫の子孫は白子として生まれ血液から梅の香りを漂わせ、鬼を寄せるという。
その血肉は皮肉にも鬼どもにとって極上の味らしい。
報告書にも血液から梅の香りことが記されており、確証を持った。
「いい名だね。姓が無いのは少々不便だ。
確かあの村には鶴岡八幡という神社があったね。」
「はい、おっしゃる通りです。」
「じゃあ、これからは鶴岡と名乗ればいい。
大方の君の事は報告を受けている。
さて、君はどうしたい?」
「あの…「お館様、不穏分子は殺すに限ります。」えっ。」
紅梅が口を開こうとした瞬間、傷だらけの男性が立ち上がり紅梅に刀を差し向けてきた。
「オイオイ、当事者でない奴は黙れ不死川。」
紫も黙っては置けないと刀に手をかけながら立ち上がると同時に紅梅の前へ出て冨岡が庇う。
「夜月ィ、冨岡ァ、てめーらは鬼に庇いたてする気か?」
不死川が声を荒げるが冨岡は一歩も引かない。
「不死川の事も一理あるが鬼として覚醒するまで囮として飼うのもいい考えじゃねーか?
好みじゃねぇがここまで別嬪と来ると殺すのに勿体ねぇ。」
派手な男性がいつのまにか紅梅の前へ来て顎を掴んでまじまじと顔を見る。
その間に不死川は舌打ちをし、刀を仕舞う。
「は、離してください。」
言われてる事は不穏だが別嬪と言われて悪い気はしない。
だが、自分の身を案じた彼女はその手を振り払った。
「うむ、まだ人間だと言う確証はないし、鬼でもないならその証明が先だな!」
自信満々に陽の色をした男性が大声で言う。
「そんなもんは簡単だァ。
ほれ噛みちぎってみろ鬼め。」
冨岡の横を通って紅梅の口に指をねじ込み、顔を掴んで持ち上げる不死川。
「もが!…がは!」
口に指を突っ込まれながらも彼女は腕を掴みその支えだけで彼の頭を蹴った。
軽い一撃、だがその突拍子も無い行動に面をくらい不死川は思わず口に入れていた手を引っ込める。
急な落下で受け身をとれず地に伏せる紅梅。
だが、彼女の目には闘志は消えてない。
「…こいつ!」
呼吸法を知らずとも柱に抵抗できる身体能力を目の当たりにし、ざわつく一同。
ゴホゴホと咳き込む彼女の背をそっと胡蝶が撫でて言う。
「不死川さん、女子にご無体を働くのはどうかと思いますよ。」
「何だァ?女子供だからって情けをかけろってかァ?」
「そういうわけじゃありません。
利用価値があるのなら利用してからでも遅くはないかと。」
「…だが可哀想だ。
せめて何も知らないうちに殺しておいた方が…。」
盲目の大型の男が哀れみを含んだ声で言うが言っている事はかなり物騒だ。
「ふん、そいつがもし鬼と通じて居たらどうする。
その保証は?誰がけじめをつけるんだ?」
蛇を連れている男の問いにお館様と呼ばれた男が口を挟んだ。
「その時は義勇が彼女の首を跳ねて紫が腹を切ると報告を受けている。
今一度聞こう、紅梅、どうしたい?」
張り詰めた空気の中、紅梅は立ち上がりお館様を見据えて宣言する。
「私は、生きていたいです。
生きていいと認められてここにいます。
私が鬼なろうとも引導を渡してくれるという約束の元、私は生きるために抗います。」
いい返事だとお館様は笑顔を見せた。
その宣言を夜月はニヤリと買って出る。
「いいねぇ、そういう意思の強さは嫌いじゃない。
お館様、こいつのことはわっちにお任せください。
きっといい隊士にしてみましょうぞ。」
冨岡が口を開きかけた矢先、そう言われたものでやや不満げに夜月を睨む。
「それでは、紫に一任しようかな。
義勇も不満があるなら言いなさい。」
「…ありません。」
深々と頭を下げて下がる冨岡。
それを横目に夜月は紅梅の肩を抱く。
「というわけでよろしくな!」
「は、はい。」
その日、その瞬間から光柱の継子として育てられることが決定した。
会議が終わり、別れ際に紅梅は冨岡を呼び止める。
「あ、あの。」
「…なんだ?」
「助けてくださりありがとうございます。
このご恩は一生をかけてお返しいたします。
ですのでお名前を教えていただけないでしょうか?」
捨てられた子犬のような瞳を向けられてちょっとだけ心が動かされる。
犬耳と尻尾の幻覚が見える。
気のせいだと首を横に振り、咳払いを一つ。
「…恩義は返さなくていい。
お前は自分で助かっただけだ。」
「…ですが、せめてお名前だけでも。」
すごぶる頑固な性格らしい。
一歩も引かない紅梅にしびれを切らして踵を返しながらいう。
「…冨岡義勇。」
「冨岡様、ありがとうございました。」
「紅梅、行くぞ。」
「は、はい。」
夜月に手を引かれ去っていく二人を振り返り、見届ける。
これで良かったのだ。
家族を失ったという同じ傷を抱えているからこそ2度と会わないほうがいい。
そう冨岡は寂しさを紛らわすために自分に言い聞かせた。
だが、二人の再開はすぐにあるとは思いもよらないだろう。
【続く】
【大正コソコソ話】
この時に義勇さんは紅梅に淡い恋心を抱いてる。
所謂一目惚れってやつ。
でも、それを姉(蔦子さん)と重ねてるだけだと必死に押し殺してる。
紅梅はまだ恩人としか思ってない。
時透君と甘露寺さんは出番がなかったですが会議にはいますのでご安心を。
甘露寺さんは紅梅のことを可愛いなと思ってても口に出せなかったという事で。
時透君は相変わらず雲を眺めて無関心でした。
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