加賀美に割り込み通信で本部の回線から飛彩に指示を送る。
『桐生さん、今から指定する場所に敵を誘導できる?』
「んあ?倫ちゃん?
んー、難しいかもねぇ。」
砲撃を避けながら距離を取りつつ退避する。
並走をしている東は俺は気にするなと言わんばかりに視線を送る。
『作戦の場所だけ送るからなんとか誘導してみて。お願いね。』
「へーへー、なるべくやってみますよんっと。鬼さんこちら!」
射線を掻い潜り、レイガストで殴ろうとするが腕を掴まれ吹っ飛ばされる。
「ははは、やるな小娘。
その無謀、面白い!」
ドドドと豪雨の様な砲撃が降り注ぐ。
だが、飛彩も一ボーダー隊員だ。
ひょいひょいと網目をかいくぐり無傷ではないが避けて誘導する。
「へっ、当たらねーよ。」
挑発するように睨み返し飛彩はさらに足を早める。
イタチごっこに見えて劣勢は飛彩だ。
(東さんを逃せばアタシの勝ちだ。)
足からトリオンが漏れてる。
動かせないこともないが限界が近い。
兎に角足だけは動かせと己を鼓舞して指定させた場所まで足を進める。
*
一方で露乃達はというと。
ゲートから二人組の近界民が現れて困惑する。
玉狛第一がいるとは言え、相手は未知の敵。
どんなトリガーを使ってくるかもわからない。
エスクードから攻撃が抜け千佳に突き刺さる!
「千佳ちゃん!」
「千佳!」
咄嗟に三雲と露乃が彼女の両腕を掴むが三人とも浮き上がり困惑する。
京介と目配せを木崎がし、青年の近界民に対して攻撃を集中させ、レイガストで殴った!
瞬間、三人が地面に降りる。
どうやら敵の攻撃には磁力のような力が働いてるらしい。
*
また所変わって、飛彩達はというと。
大学跡地にて、他の隊員数名と協力して近界民を倒そうという手立てになった。
出水が砲撃で誘導し、米屋、緑川、飛彩で代わる代わる攻撃してある地点まで追い詰めるというものだ。
「火兵が一人、白兵が三人…先程の小娘はもう虫の息か。」
ニヤニヤと余裕のある顔で相手は攻撃をしてくる。
「なにおう!米屋!」
「はいはいっと!幻踊孤月!」
米屋の首狙いの攻撃は避けられ、鳩尾狙いの飛彩の攻撃は相手の頬をかすっただけだった。
「こういう場合は同時に相手にせねばな!」
飛び上がり砲撃のまさに雨が降り注ぐが各々の建物の影になり、攻撃を防ぐ。
まとめて相手するのは部が悪いと判断したのか敵は校舎内に入り、緑川を襲うがこれは誘導。
しばらくすると恐らく、緑川に足を切られた近界民が飛び上がってきた。
「また飛びやがった!落とせ弾バカ!」
「落としてくださいだろ!あと桐生先輩よろしく!」
ハウンドと共に待機していたスナイパーが一斉射撃を始める。
敵は避けつつ対岸の緋色に気がついた。
だが、奴が反応する前に全力でスラスターで加速した上でレイガストで殴る。
結果は片腕を殴り飛ばしただけで砲撃に蜂の巣にされてベイルアウト。
「面白いものであったが…あっけないものよな。」
消えていった飛彩に少しだけ憤りを感じるが間髪入れずに砲撃が降り注ぐ。
*
一方、ベイルアウト後の飛彩はというと。
「だーくそ!負けた、負けたー!」
マットレスを叩きつけて地団駄を踏む飛彩。
予備のベイルアウト先からさっさと出てオペレータールームに足を進める。
「お疲れー、鳴子ちゃんはいますかー?」
鳴子という少女を呼ぶと大人しそうな年下の少女が控えめに返事をする。
「ひゃ、ひゃい。」
怯えた表情で振り返る彼女の肩を抱き戦況を聞く。
「で、我らが新人オペさん、戦況はどうかな?」
「え、えっとその、飛彩さんたちが相手してた近界民は無事、その場にいた皆さんが米屋さんのサポートに付く形で決着がつきました。」
映像記録を解説しながら言うとまるで自分のことのように興奮気味に飛彩は喜ぶ。
「よっしゃ!いやった!」
「で、ですが、その、別の近界民が現れて仲間を回収したようです…。」
それに関してはふーんと興味なさげに飛彩は髪の毛をいじりだす。
彼女は戦闘以外には興味がないようだ。
だが、喜びもつかの間、警報が鳴り響く!
『人型近界民侵入!繰り返す!人型近界民侵入!
直ちに避難せよ!』
警報が鳴り響く中、逃げ惑う職員たちの運命やいかに!
【to be continued】
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