#俺の部屋と同一設定のまま大人になった倫理観のうすい五条と夏油



 わりと真面目な文面で親友の悟から連絡が入り、本日ならば時間に融通が利くことを伝えると、急遽彼の部屋を訪ねることになった。
「やあ、いらっしゃい」
「急にどうしたんだい」
「オマエにしか出来ない相談事があってさ」
 まあ上がってよ、という言葉が続き室内へと招かれた私はソファーへ座るよう促される。私が腰掛けるのを見届けるとスッと消えて行ったので、お茶でも出してくれるのかと思いきや。友人はなぜか部屋のカーテンを閉めて回った。自然の太陽光だけで明るさを保っていた部屋が、みるみるうちに暗くなっていく。
「今日はなまえはいないのかい」
「京都校へ出張中なんだよね。だから今しかないと思ってさ」
 学生時代からの付き合いで、彼と半同棲となっている彼女の名を私は出した。すると予想に反して楽しそうな、あるいは悪巧みをしているときのような声のトーンで返答があった。……嫌な予感しかない。

「とりあえず見てよ」
 悟が遠隔でリモコンを操作したのかテレビの電源が入り、薄暗闇となった部屋に人工的な白い光が点る。
 画面に映し出されたのは寝巻きのようなラフな格好で、ベッドのふちにひとり腰掛ける悟の姿だった。どこか既視感の拭えないその場所について、多分この奥にある彼の寝室だろうと私は推察する。
「——、————」
 はっきりと言葉は聞き取れなかったが、彼の最愛の女性へ対するベッドへの誘い文句であろう単語だけはしっかりと拾った。今更ながら私は親友の誘いに乗ってしまったことを後悔する。
 彼が手招きすると間もなくしてなまえが現れた。不服そうな表情の彼女は、少し隙間をあけて悟の隣に腰をおろしたのだが、耐えきれずといった様子で悟はなまえを自身の膝の上に乗せる。
 そして抱きすくめたあと、身体を丸めて彼女の耳や首筋を啄んでいたのだが、なまえが身体を捩ったことにより二人の顔の距離がどんどんと近くなる。こうなれば流れは読めたも当然で。のちに映像として第三者が目撃するとも知らずに、彼らはチュッチュとしだした。
 みるみるうちに裸に剥かれていくなまえの肉体を見るのは実は初めてではない。以前にも悟に部屋へ呼ばれて、弱み半分、面白半分で彼の計略に加担した。それで完全に嫌われたと思ったが、彼女はどこまでも他人に甘く、恋人に丸め込まれたうえで私とはただの友人としての関係が続いている。
 彼女が肢体をしならせたところで、悟も自らの衣服を取っ払うと、荒めの画質に戦闘態勢のブツがしっかりと映っていた。もちろん無修正である。
 根元を支え、向かい合ってそのまま乗っかろうとした彼女を制して、悟はベッドに座ったままなまえに後ろ向きで腰を下ろさせた。容赦ないなあと思っていたら、彼女の声にならない悲鳴が響く。
 そして揺さぶられているというよりは、突き上げられていると表現する方が近い激しい行為が続く。ベッドのスプリングはこれでもかというくらいギシギシと音を立てていた。

 いつのまにか隣で映像を鑑賞していた悟に、私は問う。
「ねえ、時々なまえと目線が合うんだけど、同意のうえなの?」
「いや、言ってないよ。壁に飾ってある絵にカメラ仕込んであってさ、それ以外は何もない真っ白な壁だから無意識的に見ちゃうんじゃない?」
「最低だね……。それより、こんなもの見せつけられて相談事ってなに?」
「仕方ないことだけどさぁ、映像として淡白じゃん?オマエいい感じにAVっぽく編集出来ない?」
「私じゃなくて金にモノを言わせて映像制作会社に頼め」
 この男、全く懲りていないようである。
続・俺の部屋