最近、思う時がある。
周り見回すと、もしかして、恋してないのって、オレだけだったりする!?なんて。
だってさ、瑞樹くんは亮介くんと熱愛中だし、湊は陣くんに夢中だし?陣くんだって、最初は湊のことウザそうにしてたけど、最近なんだかまんざらでもなさそうだし。
ああーー、オレも恋愛したいーーーー!!!って、たまーに思うわけ。特に亮介くんと瑞樹くんのやりとりとかを見てると。
羨ましいのかな。
羨ましいんだろうな。
オレだって瑞樹くんのことすっげー好きなのに、亮介くんがガッチリ瑞樹くんのことホールドしてるし?
瑞樹くん攻略の隙なんか、一切ないの。
はぁ。
神様、なんでオレだけこんなにロンリー?
だからかな、たまーにやってくる、瑞樹くんとの二人っきりの時間が、すっげー幸せだったりすんだよね。
それなのに。
神様って、案外残酷なお人柄みたいで。
「さぁ今日も始まりました、BUCKSTAGE RADIO!今日の司会はオレ、神名志朗と!」
「神名瑞樹が担当します。よろしくお願いします」
ラジオの仕事って楽しい。
テレビの収録の仕事と違って、Twitterやメールなんかで、リスナーの反応がダイレクトに伝わってくるから。
オレが司会担当の時は、メールの投稿なんかもビミョーに多かったりして。話しやすい!とか思われてんのかな?それって結構ありがたい。
「今日のテーマは!ズバリ!」
(うわぁ、なんだよ今日のテーマ…サイアク)
「『恋、してますか?』…恋!恋ね!瑞樹くん、恋、してますか?」
「えっ!?いや、してないですよ全然…」
嘘だぁ。
オレ知ってるよー?
瑞樹くんと亮介くんがラッブラブなの。
(本人達隠してるみたいだから一応知らん顔してるけど)
「えー?瑞樹くん、恋してないの?恋してるから毎日そんな綺麗なんだとばかり思ってたー」
「何言ってるの志朗。やめて。ていうか、そういう志朗は?」
…なんて残酷なこと聞いてくれちゃうの、瑞樹くん。
オレはね、昔っから、割と瑞樹くん一筋なんだよ?
知ってた?
知らないでしょ?
「…してるよ、恋。うん、してるしてる」
「えっ本当に?大丈夫なのそれ、ラジオで言っても」
「うん、いいよ」
「えっ、本当?ちょ、ちょっと待ってシロ」
「オレね、瑞樹くんに恋してる」
そう言って瑞樹くんにニッコリ笑ってみた。
そしたら、瑞樹くん。
なんかちょっと怒ったような顔して。
(…あ、怒った?からかわれたと思った?)
「…今日もリスナーさんからたくさんお葉書とメールが届いてます。読みたいと思います」
「えっ、なに、ちょっと待ってよスルーする気!?瑞樹くん!!」
オレの渾身の告白、冗談だと思っちゃうんだもんね。
そりゃ浮かばれないっしょ、神様。
意地悪すぎる。
「志朗が本気で恋してるのかと思って、驚いたんだよ僕。それをふざけてさ…」
「本気本気!本気だよ!オレ本気で瑞樹くんのこと好きだよ!?相手してよ!!」
「またすぐそうやってふざける」
「ふざけてないって!!好き!!瑞樹くんのこと超好きだよオレ!!ていうか」
(亮介くんよりオレの方が瑞樹くんのこと好きだよ!!!!)
…なんて、正面きって言えたらカッコいいんだけどね。
お互い好き同士で付き合ってんだもん、亮介くんと瑞樹くん。
想いの強さに勝ち負けなんて、ないよね。
「…もういい。なんでもない。ハイ!リスナーさんからのお手紙読んで!」
「逆ギレ!?…わかりましたもういいです、とりあえず読みますね。はい。えーっと」
結局こうして、今夜もオレはフラれちゃって。
なんか全然いいことなし。
神様ってやつは、どうあってもオレを一人ぼっちにさせる気らしい。
と、思ってたけど。
リスナーさんからのメールを読み終わって、新曲を流してる、その間のこと。
瑞樹くんが、目の前のマイクをオフにして。
オレに向かってフッと微笑む。
「いきなり何言うかと思ったら。志朗。おどかさないでよ」
「え?あぁ、さっきの?ごめんごめん、ちょっと冗談キツかった?」
「冗談なの?」
「…えーっと。それはー…」
冗談なの?って聞いてきたその顔が、笑ってるから。
オレは咄嗟になんて答えていいかわからずに、目を泳がせた。
すると、瑞樹くんは、また笑って。
「僕も好きだよ。志朗」
一言そう告げると、瑞樹くんは手元のマイクをオンに戻した。
「っ、…!!」
オレ、顔真っ赤。
「あれ?志朗、どうしたの?なんか顔赤くない?まさか曲の間に酒飲んできた?」
新曲が終わる頃、オレが顔を真っ赤にしたことをネタにして、瑞樹くんが笑う。
オレは慌ててマイクをオンにして、それに応えた。
「いやー、リスナーのみんなに聞いてほしかったなー!瑞樹くんの愛の告白!オレの気持ちに応えてくれたんだー!」
神様、瑞樹くんは亮介くんと付き合ってるけど。
それでもやっぱり、オレは、瑞樹くんのこと、大好きです!!!
「志朗、恋してる?」
瑞樹くんの言葉に、オレは元気に返事をする。
「うん、オレ、恋してる!!神名瑞樹に、恋してる!!」
全力で、オレはそう応えた。
この恋、まだまだ発展途上!片想いだけど!
神名志朗、神名瑞樹に!!
恋、してます!!!
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