ランキングといえば、lan-lanの抱かれたい男ランキング。


俳優の辰巳結城さんが三年連続一位。そんで、陣くんが二位になってなっちゃんに怒られた、あのランキング。


芸能界では、このランキングっていうのが、オレたちに付いて回る。新曲の売上ランキング、男性アイドル人気ランキング、MVの視聴回数ランキング…。


ちなみにランキング、オレは大好き。ファンの人たちの客観的な意見が聞けるから!(オレの順位はさておきね)


で、今回、冠ラジオ番組「BUCKSTAGE RADIO」で発表されたランキングっていうのが……コレ!






「わたし、この人と結婚したい!BUCKS、結婚したいメンバーランキング〜!!」

「………」

「………」

「イェーイ!!」


ラジオの冒頭。

テンション高めにコーナー紹介したオレとは対照的に、暗い顔をした瑞樹くん。その隣に並んで面白くなさそうな顔をしてるのは、陣くんだ。


オレの隣に座る湊は、いつもと同じ。テンション高く拍手までしてくれてる。うんうん、ラジオの囃し方、分かってるね、湊!


「結婚したいメンバー、ねぇ…」


一言こぼした亮介くんは、几帳面だからだろう、ラジオ局のスタッフから渡された原稿を、じっくり読んでいるみたいだ。


今日の進行はオレ!神名志朗!頑張っちゃいまーす!!



「結婚したいメンバーランキングって、そんなもんやらなくても一位が誰かわかんだろ」


そう言って、椅子の背もたれにため息まじりに背中を預けた陣くんに、オレはニコニコしながら首を傾げる。



「へー、一位が誰だか陣くん分かってるんだ?」

「まぁな。なんせ俺は」

「抱かれたい男万年二位だもんね」

「喧嘩売ってんのか瑞樹!」

「ヤバい、俺抱かれたい男19位だった……またランキングドベだったらどうしよう!?」

「ハイハイ、収拾つかなくなってきたので、チャチャッと発表しちゃいまーす!」



メンバー五人も揃ってラジオとなると、いっつも収拾つかなくなるんだよね、みんな好き勝手に喋るから!ここは強引に進めないとね!


それじゃ、発表します!

まずは当たり障りのない、BUCKS、結婚したいメンバーランキング、第三位!!



「三位からかよ!」

「この五人の中で、女性から見て無難な人物ってことだね…」



ジャン!!


第三位!!!



「オレ!!!神名志朗!!!!」



おー!!


無難な第三位!!!!



「わー!ありがとう!やったー、ドベじゃなかった!!」

「志朗が三位……理由は?」

「理由。読むぞ。……家の中を明るくしてくれそう」

「ちょっと亮介くん、もうちょっと明るく読んでよ…」

「家の中明るくしてくれそうって、電球扱いかよ」

「他には…えーっと、疲れた時に癒してくれそう、だって!いいなー志朗、癒しキャラ認定されてる!」


リスナーから寄せられたメールが並ぶ原稿を読みながら、湊は大きなため息を吐く。抱かれたい男19位の湊からすると、こういうランキングものはやっぱり不安なんだろうなぁ。



でも大丈夫、湊!!


何故かというと…!!!




「三位ありがとう!!オレは家の中を明るく照らします!!んじゃ、続けるよー!!続きまして、二位の発表です!!!」

「そろそろ僕だね」


(瑞樹くん、その一言マイク拾ってるからね!?)




ジャン!!!


二位は!!!



「神名湊ーーーッ!!!おめでとう!!!」



「うわーーーーっ!!!マジで!?やったーーっ!!!」

「やったね湊!!!イェーイ!!!」

「二位が湊!?オイなんかこのランキングおかしくねぇか!?」

「ちょ、待って!!待って!!じゃあ僕は何位なの!?」

「待て、とりあえず理由だ。読むぞ」


亮介くんが意外と進行助けてくれるから、オレは湊と手を取ってランキングの結果に喜んでいる。


さて亮介くん、理由をどうぞ!


「湊を選んだ理由。…毎日笑顔でいてくれそう」

「それさっきの志朗の理由とほぼ同じだよね!?」

「待て瑞樹、落ち着け!まだあんだろ亮介」

「あぁ。ある。……理由。落ち込んだ時に元気をくれそう。一緒に頑張ろうって言ってくれそう」

「あぁー…なんかそれわかる気がする…」



湊はいつも、笑顔でいるから。周りの人のテンションを上げてくれる。オレだって、ライブ前に湊と二人で騒いでるから、テンション高く本番に臨めるんだ。



湊の元気は、周りを元気にする。



「確かに!その理由、おっしゃる通りです!」


そう言ってオレが強く頷くと、湊は照れたように笑った。




さて!!


残りは一位と四位と五位!!

残っているのは、陣くん瑞樹くん亮介くんの、お兄ちゃん組三人!!ウフフフフ!!!



それじゃあ早速!!


「ハイ、じゃあ一位発表しまーす」

「はぁ!?この流れでいうと四位だろ!!なんで一位なんだよ!?」

「そうだよ!!四位からでしょここは!!」

「ごめんなさい、原稿にそう書いてあるので」

「なんだその事務的な対応は…」

「サクッと行こう!!志朗!!一位はーっ!?」



ジャカジャカジャカジャカ、ジャン!!!



「結婚したいBUCKSメンバー、第1位は!!!神名……亮介くんです!!!」



わーーーっ!!!おめでとうーーーっ!!!!!



「嘘だろ…なんだこのランキング…?」

「り、亮介が一位……!?」


愕然とする陣くんと瑞樹くんをよそに、呆然としている亮介くん。


「お、俺が…一位……」

「亮介イェーイ!!!おめでとう!!!」

「イェーイ!!!結婚したいメンバーナンバーワン、亮介くん、その理由は!!これ!!」



絶対的包容力!!


「困った時や辛い時、亮介くんなら必ず助けてくれそう!守ってくれそう!口数は少ないけど、とにかく優しそう!との声が多数寄せられていますね〜」

「あぁー、亮介は確かに守ってくれそう。それに優しい。わかるわかる〜」

「おい待て湊、亮介はってなんだ、亮介はって!」

「そうだよ、なんで亮介はって限定がつくの!それに亮介は確かに優しいけど、誰にでも優しいわけじゃないし!みんな亮介のこと誤解してるよ!」

「ハイそこ、四位五位の人は静粛に!!」



あ、今「クソ…!」って言った?陣くん!



「包容力かー。確かに頼り甲斐があるもんね、亮介って。なんかこう…見守ってくれてる系お兄さん」

「だよね、オレもそれは感じる。ダンスレッスンの時とかさ、ついていけなくなると、亮介くん何気なく隣に来て、教えてくれたりするしね〜」


何かと騒がしいオレ達年下組を、大らかに見守ってくれてる系お兄ちゃんが、亮介!!


いやー、ファンの人も分かってるね!!よく見てます!!



「ハイ、じゃあ残りの二人」

「そのまとめ方!!やめろ!!」

「失礼だよ志朗!!」


陣くんは自身の予想に反してブービーかドベ。

瑞樹くんも、なんとなく、自分が上位だと思っていたんだろう、動揺してる。



さて!!!


じゃあ発表しますか!!!



「それでは、発表します!!第四位!!!」



「来い!!俺来い!!」

「ドベは嫌だ、ドベは嫌だ、ドベは嫌だ…!!」



第四位!!!







神名瑞樹くん!!!



「よしっ!!!!」


瑞樹くん、珍しくガッツポーズ。



そしてこの瞬間、神名陣くんの最下位が決定しました!!!



「瑞樹が四位なの、なんでー?」

「良い質問です湊くん!」

「実際何でだ?俺も気になる」


一位の亮介くんに聞かれたら、答えないわけにはいきません!

てなわけで、理由、読んでいきまーす。



「瑞樹くん四位、理由。…神経質そう」


あぁーーー…これは……。


「当たってるな…」

「洗濯物のたたみ方や料理についてまで、細かくチェックされそう」

「ちょ、待ってよ僕そんなうんちく言ったことないよねテレビで!洗濯物のたたみ方とか!料理とか!」

「いや、お前は何気に発する一言から神経質なのがバレバレなんだよ」

「五位の人は黙っててくれないかな!?」


陣くんの横槍に、鋭い一言を返した瑞樹くん。


陣くん固まってるよ。


「瑞樹は確かに神経質なところはあるな。潔癖だったりするし。でも部屋の掃除とか、細かいところまで気づいてくれる。俺はいいことだと思うけどな。おかげでウチは綺麗だろ」

「ナイスフォロー亮介くん!!そういうところが結婚したいメンバーナンバーワンなんです!!」

「それもそうだけど、一番意外なのは、陣だよ…まさかの、最下位って」

「言うな湊、何も言うな…」


それでは、落ち込む陣くんに、トドメを刺したいと思います!!


神名陣、結婚したいメンバー、最下位、その理由は!!



「陣くん、心して聞くように」

「おー…なんだよ…言ってみろ…」

「陣くんと結婚しても、浮気されそう。不倫されそう」

「ッ……」

「おい今笑っただろ瑞樹お前!!」

「え?あぁ、いや、みんなよく見てるんだなぁと思ってね?ふふっ」

「浮気って…陣はそんなことしないよ!!」

「おーーっとそのフォローはいささか無理があるのでは湊くん!!」

「……多分!!」

「説得力ねぇな!!」

「他にはですねぇ…えーっと」

「まだあんのかよ!?」

「家事とかあんまり協力してくれなさそう。浪費が激しそう。とにかく浮気しそう」



陣くんこれ酷いよ!!!


フォローできない!!!


陣を除いたみんなが爆笑するさなか、ムッとした表情をしているのが湊だ。


あぁもう、そんな分かりやすいリアクションして…。


「でも…陣のファンの人からのメールも来てるでしょ?それ読もうよ」

「そうだな。えー…、コレか、読むぞ。わたしは、陣くんと結婚したいです。普段はチャラチャラ遊んでいても、いざという時、陣くんなら守ってくれると思うからです」



おー、陣くんも捨てたもんじゃないと。

ありがたいよね、ファンのみんなの言葉って。

こういうのがあるからリスナーさんのメールって好き。



「チャラチャラってのが気になるけど…これはファンの人から信頼されてる証拠だね、陣。よかったじゃない」

「なんっかお前は上からだよな、瑞樹!」

「でも、この人の言う通りだよ。陣くんは、遊んでて明け方まで帰ってこなかったりするけど、いざ収録とかになると、キチッと身なり整えて、ベストな状態で収録入るからね。そこはプロだよね」

「志朗お前、普段俺が遊んでて帰らねーっていう情報をサラッと流すなよ…」

「いや、帰って来てますよ、ちゃんと。そこは陣の名誉のために。悪しからず。マネージャーが聞いたら激怒するので今のは」

「とりあえず、お前を信頼してるファンがゼロじゃなくてよかったな、陣」

「ありがとうございます一位の亮介様…」

「そうだよ、陣はこう見えて頼りになるんだよ。みんな、陣がパパラッチされても、信じてついて来てね!」

「こ、こう見えてもって……」



さてさて、そろそろ、新曲を聴きながらお別れの時間です!



抱かれたい男No.2の神名陣が、結婚したい男最下位!衝撃の結末でした!


「今夜もBUCKSTAGE RADIOを聴いてくれてありがとう!!それじゃあ最後に、最下位の陣くんから一言お願いします!!」

「しばらく俺、遊びに行くの辞めるわ……」


地味に凹んでいるようです!!!


「それでも、俺、陣のこと好きだよ!」


そのフォローは割とボディーブローだよ湊くん!!!


というわけで、今日はここまで!!



みんな、またね!



BUCKStageで会いましょう!!







「…お疲れ様陣くん」

「お疲れ陣…僕も気持ち分かるよ、辛いよね最下位…」

「陣、元気だしなよ」

「なんか美味いもんでも食いに行くか。陣」

「お前らフォローしながら笑ってんじゃねぇよ!!!!」



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