壇上では今回のゲームに置いて最も重要になるシナリオを提供した、江戸川コナンくん改め工藤新一くんのお父様の工藤優作さんが多くのライトを浴びている。スピーチをして壇上を降りる工藤さんがこちらを見たような気がしたので少しだけ目線を反らせた。




あたりが暗闇に包まれるとそれと対をなすように壮大な音楽が流れる。いよいよコクーンの登場である。壇上の床が抜けるとそこからまばゆい光を浴びながらきれいなお姉さんを伴って最先端体感型趣味レーションゲーム《コクーン》がホールにいる人たちの視界に入る。




あのゲームはこの日本という国のゲームの将来を担っているだけではなくその他様々な場所で活躍をし、その名を一気に轟かせていくことになるだろう。




恒例の博士の謎解きが始まり、私と沖矢さんの後ろからは空気の読める子供達からの喝采に応えるようになぞなぞが始まりを迎えている。今回の謎解きはこうだ「コクーンのゲーム会社の社員がコクーンの開発途中にそのゲームに熱中してしまう、それを見た会社の社長はその社員をどうしたでしょうか?




一、 ゲームを最後までクリアしたので表彰した。
二、 仕事中にゲームをしていたためクビにした。
三、 コクーンの中で眠っていたのでそのままにした。




「誄さんは、答えがわかりましてか?」




「そういう沖矢さんはわかったんですか?」




「もちろんです、少し寒く感じますが。」




「私もです、空調の当たらないところに移動します。」




「ご一緒しましょうか?」




「結構です。」




空調の効きすぎている会場を離れる最中、ふと会場に飾られたブロンズ像に目がいく。会場内の人の話だと、あの像はシンドラー社長のものでわざわざこの会場に持ち込んだらしい、よほどお気に入りのものなのだろうと思いきや、先ほどの生意気な金持ちの御曹司様の話では安物なのではないか、ということだ。




会場を抜けて樫村さんの仕事部屋がある地下に向かう。そこにはきっと彼がいるはずだ。




「どちらに行かれるんですか、シンドラー社長?」




「悪いが君に構っている時間はない、後にしてくれ。」




「樫村さんに、何かご用で?」




「樫村を知っているのか。」




「ヒロキ君のこと、樫村さんから聞きました。」




「・・・。」




「ですが、私の口からは誰にも、何も言いません。」




「そんなこと誰が信用するというんだね。」




「では、見ていてください。私もあのゲームに参加しますので。その一挙手一投足すべてを。」




「私がここに・・・。」




「知りませんよ、ただ。樫村さんに挨拶をと思ったらあなたがいたので声をかけさせて頂きました。」




「早く会場に戻ったほうがいい、そろそろコクーン体験者の入場が始まる。」




「そうします、あぁそうだ。一つ御忠告します、ヒロキ君の自殺の理由は知っているのですがそれを隠し通せるとは思わないでください。」




「・・・。」




「ここには、名探偵が4人もいますから。では、また。」


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