その後、相変わらず口の聞き方を知らない江戸川コナン君と、全く知らない沖矢昴さんと別れ自宅へ向かう。両親と兄と暮らしていた家だが、今は一人。一人では広すぎる部屋に私の声だけが響いた。





「ただいま〜っと。」







ただでさえ大学の授業が忙しいのに帰りに見あんな事件を自ら引き寄せる様な彼に会ったり知らない人に会ったりと、精神的な疲労がたまり帰ってくるなりベッドに体を鎮める。東都大学≠ニ彼は言っていた、偶然に偶然なんてこうも重なるものなのだろうか。




「私も東都大学の学生なんですけど。」




あんな人大学にいただろうか、長身でまぁ、顔はいいほうだし。学内で見たことがあるのなら記憶の片隅にきっとあると思うのだが。これは調べなくてはならないだろう。





学院生だから合わないのか?






次の日、何が楽しくて休みの日まで大学に行かなくてはならないのだろうか。その理由の根源を確かめるべく事務所に向かう。




「え?在籍してないんですか?」




「はい、沖矢昴さんですよね。その様な方は本校には在籍していないですね。」





「大学の方も大学院の方もいないんですか?。」




「はい、どちらにもそのような方はいらっしゃいませんね。」





「そうですか。」





「なにか、ご用だったんですか?」





「いえ、なんでもないです。私の人違いだったのかもしれないです。すみませんでした、失礼します。」




おいおい沖矢昴さん、どうなっているんですか?
確かに彼は東都大学の学院生≠ニ爽やかな顔と声で言っていたはずなんだけれど、江戸川コナン君も昴さんはすごいんだよ≠ニ言っていたと思うんだが。




疑問でいっぱいの頭を抱えながら家に帰りパソコンの電源を入れる。





「江戸川コナンくん、沖矢昴さん。私を舐めないで頂きたい。」




私の愛するパソコン4台を駆使して沖矢昴について調べるとしましょうか。
元いた世界では《公安局刑事課情報統括一係》に所属していた私にとって情報を集めるなんて朝飯前なんですよ。沖矢昴、検索すればするほど面白い。





「おやおや、沖矢昴さん。なんでこの世に存在していないんでしょうかね?」





いくら検索をしてもあらゆる所の情報を調べてみても沖矢昴≠ネんて人物にはヒットしない。もちろん江戸川コナンくんもしかり、彼はまぁ、薬で小さくなったと知っているし、放置。問題は彼。





「江戸川コナンくんは元は工藤新一。両親は今海外にいるみたいだし。どうして工藤宅の電気使用の形跡があるのかな?」





工藤優作、有希子さんはいま海外に行っているはず。付けっ放しのテレビから「工藤優作ついにマカデミー賞か!?」なんてニュースが流れている。両親は不在、だのに工藤宅には誰かが暮らしている形跡が残っている。






「現地へ言って調べるしかないかな?」






その夜、私は渦中の人物へコンタクトを取るために夜、工藤宅へ向かった。





- 3 -

*前次#


ページ:



ALICE+