11



安室透、本名降谷零。
零はゼロを意味してはいるが、トランプにゼロという数字はない。もし安室さんが狙われるとするならば苗字に入っている室という文字、阿笠さんの士と同じで10と1の組み合わせ。でも、11で安室さんは狙われなかった。そうなると安室さんは犯人から狙われることはないだろう。




では、赤井さんは?




赤井さんの本名は赤井秀一。数字の位置が入っている。




でも赤井さんは毛利さんとは知り合いではないから狙われることはないだろうけどなんだか言いようのない不安が押し寄せてくる。どうしてこんなに胸騒ぎがするんだろう。赤井さんが死ぬはずなんでないのに。




沖矢昴は?




沖に三ずいが入っているこれは数字の3を表せるだろう。矢には2が入っている。でも赤井さん同様沖矢昴は毛利さんとは関わってないと思う。だったら狙われる可能性はないだろうか?





本当に?





絶対に?





目暮警部が病室に入ってくる、彼だって未だ怪我が治っていないのだからおとなしく寝ていないといけないのだが傷口はもうふさがったから大丈夫だと言い張っている、警察の人は丈夫にできているんだな。




「村上丈。」




悩んでいる毛利さんがふと漏らした。




「何者ですか?」




「一匹狼のカード賭博のディーラーでな、10年前殺人事件を起こして1週間前仮出所したばかりなんだ。」




「カード賭博のディーラーって?」




「トランプの賭博でお客にカードを配る人のことですよ。蘭さん。」




「これが10年前の村上丈だ。」




目暮警部の出した写真には村上丈が事件を起こす前に行っていただろう仕事現場の写真だった。この人が本当に犯人なのだろうか?




村上丈が犯人だとするのなら、毛利さんの周りを狙うのも納得できる。自分のことを逮捕した毛利さんを恨んでいるのだろう。だから、毛利さんの周りから順に襲っているところを見ると随分と性悪なやつなんだろうと思う。




「白鳥くん、その話はもういい!」




突然聞こえた大声についビクッっと反応してしまう。昔からをそう、男の人の大きい声が苦手。ないを言ってもそれに被せてくるような食ってかかるようなあの言い方が苦手だ。




「大丈夫ですか?」




「安室さん・・・大丈夫ですよ。お気遣いいただいてありがとうございます。」




「いえ。それにしても。」




「はい?」




「あなたも、よく事件に巻き込まれますね。」




「私のせいじゃないです。」




次に狙われるであろう毛利さんの知人、岡野十和子さんの経営する銀座の高級クラブ「十和子」まで毛利さんに同乗し、このままこの現場で犯人を待つという毛利さんと目暮警部、白鳥警部を置いて病院まで乗ってきた安室さんの車で家まで送ってもらうことになった。


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