犯人に人質にされたり、拳銃を突きつけられたりと。本当にアンビリーバボーな経験をしているのは一重に、この少年のおかげだと私は思っている。携帯番号を知られる前だって、まずファーストコンタクトが殺人事件の現場であり、二回目は彼に会った途端事件が起きた。三回目は拳銃を突きつけられて、四回目は人質となって犯人に殺されそうになった。まぁ、三回目も危うかったけど。




「どう思います、コナンくん?」




「え?何が?」




「コナンくんに会うと事件が起こるって話。」




「ははは、僕のせいじゃないと思うけど。」




「まぁ、そうだよね。体質なだけだよね。」




「体質って・・・。」




結構恒例になっているコナンくんと赤井さんとの食事、案の定赤井さんは仕事の都合で遅刻だけど。




たわいもない話に花を咲かせて赤井さんを待つ、この間ナイトバロンを借りようと工藤宅へ行った際事件に巻き込まれてしまって借りられなかった本を借りようともう一度お邪魔したところ、運悪くホームズ好きな子供に捕まり、生返事よろしく永遠とコナンくんのホームズ談義に付き合わされ、家に送り届けられたコナンくんは次の日頭に瘤を作って学校に行ったとか。




「大学の勉強はどう?」




「あぁ、進んでるよ。今は論文どうしようか悩んでるところ。」




「え?今悩んでるの?」




「そう。」




「遅くない、だってもう4年生でしょ?」




「煩いなぁ。」




あの事件以来しばらく、しばらくといっても半年以上経って私は無事大学4年生になったわけだが、卒業論文というものに悩まされている今日この頃なのである。大学に入った目的が論文を書きたいという目的だったため、今置かれている状況は私としては願ったり叶ったりなのだが、卒業論文の題材が決まらない。




国際問題の事を書きたいですと、卒業論文担当の先生にいったところ「国際問題の何を書くの?」と言われる始末。苦笑いを浮かべながら職員室をそそくさと出てきたのがつい先日の事。単位はすべて取っているため後は卒業論文の単位さえ取れれば無事卒業なのだが。




ちなみに、半年の中でも様々な事件は起こっているわけで、なんとなく巻き込まれているものもあれば、少年自ら悪魔のごとくその現場に私を連れ去っていったこともある。もう論文のテーマを変えて「少年と事件」というタイトルにでもしようかと思っているぐらいだ。内容は犯罪における犯人と人質との心の協調性について、とか。




「はい、誄ちゃん。」




「ありがとう、ジョグ。」




「コナンくんはこれね。」




「ジェイグさん、ありがとう!」




将来何になるかを相談するのに小学生を呼びつけている私にジョグは半ば呆れモードで、ママも同じような視線をこちらにぶつけている。しょうがないじゃないか、赤井さんに相談しようとしたけど忙しそうで電話にも出ないし、だからと言って安室さんとかに相談するのはプライドが許さない。


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