Home > Main > Series2 > List > Page 青春バタフライ みずいろ [2/2] 「水谷、パスパス!」 「あっ、えっ?」 隣のクラスの水谷とは、体育の授業で一緒になっていた。俺がF組で、水谷はE組。 ちなみに、E組とF組はスポーツクラスで、所謂、スポーツ推薦で入学して来た生徒たちばかりだ。あと、G組とH組もスポーツクラス。 共学校である我が校だけどスポーツクラスだけは若干、男子のほうが多く、水谷はそんな男子の一人だった。 スポーツ推薦と一口に言ってもいろんな種目があり、俺みたいに走ることが得意なやつもいれば、球技が得意なやつもいる。 そんな中、例えば柔道や弓道と言った武道の推薦で入学して来たやつの中には、一見してスポーツが得意に見えないやつもいて。 「ちょ、水谷!敵にパスしてどうすんだ!」 「わわっ。ごっ、ごめん」 その典型的な例が水谷で、走らせれば余裕でビリになるし、ボールは顔面で受けてしまう。鉄棒や跳び箱なんかの器械体操も苦手みたいで、水谷がいったいどのスポーツ部に所属しているのか、とても気になっていたのだ。 室内プールを後にして、自転車を押しながら校門を出る。一部のクラブは部員全員での寮生活を強いられているが、幸い俺は自宅から通っている。 それにしても、まさか水谷が水泳部員だったなんて思わなかった。噂によるとうちの水泳部は次期オリンピック候補になるようなやつばかりで、先輩の中には実際にオリンピックの出場選手もいた。 もしかして水谷もそうなんだろうか。その答えは、今さっき目にした光景が物語っているような気がした。 ↑上へ [*前][次#] 2/2ページ [戻る] [Home] |