華やかな門出に添えて

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
無事に完走できて本当によかった・・・。大変な長旅で、達成感もありながら、どこか寂しい気持ちもあります。ここでは、完結に寄せて筆者の思いの丈を綴っていきますので、お付き合いいただけると嬉しいです。と言っても、どこから語ればいいのやら……。

この物語は"ヒロインの巣立ち"と"親愛と恋愛"をテーマにしています。比重としては後者の方が重めです。それぞれに焦点を当てて述べていき、そして最後に総評を。

まず、ヒロインの巣立ちです。彼女は『ぶっとんだ主人公が書きたい』という筆者の願望から生まれました。ですが、世間的には普通じゃなくても、見る人が見れば真っ直ぐで美しく、潔い女性です。シビュラシステムに支配された世界で、心に従い、嫌なものは嫌だと言える。そういう人間です。本人はそれを美点だとは思っておらず、当たり前のこととしていて、逆に周りの方が異常だと感じているくらいなんですけれど(笑)本編では特に描写はないですが、入局当初はもっと冷たい人間でした。それが8年の時を重ね、少しずつ溶けていった感じですね。最後には恋をするまで成長し、より魅力的な女性になって、書き手としてとても誇らしくなりました。やっと海から旅立ったのですから、思う存分、羽を伸ばしてほしいものです。彼女は退屈が心底嫌いなので、赤井さんとふたりで暴れていただきたい。

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次に二つ目のテーマ、親愛と恋愛。ここまで読んでくださった方ならお分かりになると思いますが、赤井さん(親愛)と狡噛さん(恋愛)です。逆のパターンも一瞬考えたのですが、速攻で却下しました。世界観がPSYCHO-PASSでありましたし、個人的に狡噛さんより赤井さんの方が大人(と言ったら語弊があるかもしれないですが、尽くすタイプ?)だと思ったんですよね。狡噛さんも十分大人なんですけど。余裕とか包容力とかは赤井さんの方があるイメージだったので、相棒ポジにしました。実際とても書きやすかったですし、後になるにつれて最適なキャスティングだったという思いが強まりました。ヒロインは赤井さんとは対等でいたいと思っていますが、沈んだ時に一番に縋りたいと感じるのも彼。お互い隙を見せるのは、二人きりの時だけ。そして、これからは逆に赤井さんを甘やかしていただきたいです。頭撫でてあげてほしい。

そして、狡噛さん。本当は監視官時代の絡みとか、いつからヒロインに惹かれていたのかとか、色々書きたかった!ですが作中にもあったとおり、彼はたぶん復讐より愛を選ぶことはしないし、どちらも半端というのもあり得ないと個人的に思ってて。槙島が生きてる以上、愛に走ることはない・・・ような気がします。だけど、ヒロインに対する想いも捨てられるほど柔じゃない。本質的にふたりは似てるんですよ。ある目的を達成するまでは、目移りはしない。ただ狡噛さんの場合は優しすぎるんですよね。そこはヒロインと大きく違いますね(笑)「俺の復讐が終わるまでそこで待っとけ」とか言っちゃうと、それはもう狡噛慎也ではないし。彼は自由なヒロインが好きなので、そんな事は絶対言わない。大好きなキャラクターで、どうしても自分の中の理想像が全面に出てしまっていた気がします。。。
あと、ヒロインに対する理性が結構脆そう。ちょっと押されると、簡単に崩れちゃうと思います。女性として愛しているから征服したい。けど、間違いなく人としても惹かれているので、汚したくない。んー、かなり屈折しておりますなぁ。拗らせてる感はある。なんとなく赤井さんより精神的に不安定なイメージで書いてました。

正直に申し上げて、書き終えた今でも「どっち落ちだったのか?」と訊かれると返答に困ります。個人的には赤井さんエンドなのかなという気がしていますが・・・どうでしょうか?(笑)エンディング自体はずっと前から決まっていました。ヒロインが恋を選ばないことも、狡噛さんが復讐を優先することも。その過程での両者の葛藤が伝わっていたら非常に嬉しいです。
本編開始時点で、『生きていくのに必要不可欠なのは?』と問われたら、ヒロインは迷わず赤井さんだと答えたでしょう。それが最終回ではたぶん言い淀む、くらいには成長したと思っています。親愛>恋愛だったのが、親愛≧恋愛になった感じですかね。

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どうやら私は、長編書くたびに話数が増える病を患っているらしいです。あまりに長過ぎて、新規の読者なんて増えない気がしてます…。でも楽しかったからいいや〜(笑)とりあえず、続編の予定は全くありません。ただ、結構思い入れが強いので、どこかのタイミングで企画とかやりたい気持ちはあります。ヒロインが狡噛さんに捕まる話は、いつか書きたい!SEAUn辺りで見つかってしまえ!!あとは3期の時系列で、何か大きな事件の解決の為に、赤井さんとふたり日本に連れ戻される話とかもいいなぁ、なんて。アイデアが浮かんだら、どんどん書きます。

重ねてになりますが、ここまで長旅にお付き合いいただきありがとうございました。これからも彼らの旅は続きますので、どうか温かく見守ってあげてください。それでは、また別の作品でお会いしましょう!今後とも Mirageをどうぞよろしくお願いします。

2022.6.24 斑

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