さそわれた女の子たちのあつまりを断って用もないのに図書室に逃げ込んだ。はーっと息を吐いておちつかせると、なぜか途中からついてきたカズシ君は眼鏡を定位置に戻すとにっと笑ってみせる。
「よ!はい、ペンおとしてた」
「あ〜、ありがと」
「橘苦手?」
「いや?ヒナタちゃんいい子だし苦手では、ないかな…?」
「えー?」
本当に?と含んだ声色に少し居心地が悪い。
本音は、女の子の集まりが少し苦手。きゃあきゃあしてきらきらするのが眩しくて場違いな感じがして苦手。口からこぼれる私の声が冷たくて、あたたかい場所が冷えていくのがわかるから苦手。女の子たちのひきつる口元が見えてやっちゃったなぁと思うのが嫌で、集まりに参加する場合はゆるく笑んでいるだけだから苦手。……なんて、言えるわけもなく。
「放課後は私だけの自由時間だから」
「それはわかる」
「わかるんだ」
カズシ君もそんなことあるのか、5人で駄弁っているイメージが強すぎて1人でぷらぷらしているのが想像つかない。
はぁと息ついて、人の少ない図書室とはいえ本を読むわけでもないので邪魔にならないように端の方の席に座る。離れていく気がないらしいカズシ君も座って今日あった(なにげない)話をしてくれるらしいのでありがたく時間潰しに利用させていただこう。
「その時タクヤが押してさ」
「火災報知器、あー…あれ……。えぇ…君達かよ」
「いやぁなにがあるかわかないもんな」
「いや押したら警報がなるのはわかるわ。……アツシ君大変そう」
「俺も大分大変なんだぞ!」
「いやぁ?今の話はアツシ君が大変。タケミチ君がトロいってのしかわからない」
「間違ってはないんだよな」
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