病院から兄である常秀が倒れたので誰か家族の方が来て欲しいと連絡があったようだ、父さんのにっがい顔が目に入り少し笑ってしまった。別に兄が嫌いとか父が嫌いとかではない、見てて家の人間は面白いのだ、ひひひっと小さく笑うとくいっと服の裾を引っ張られた。
「ねぇ、AAAー、私の髪の毛まだおわらないのォ?」
「もう終わるよ」
「やぁだぁ、なんでこんなに遅いの?いつも早いのに」
「いつにも増して大弥ちゃんの寝癖がひどいんだよ?昨日、髪乾かして寝た?」
「半分ぐらいは乾かして寝た、寝ちゃったの〜」
「ならそれが原因だね」
くしでとかしていけばゆっくりなおっていく黒髪、さらっさらの髪が嬉しくてにやにやしてしまう。大弥ちゃんが妙な顔して俺の首からなぞるように指をすべらせて頬をつまむ、ぐにんっとのびるそれを彼女は気に入らないと言わんばかりの顔で力をつよめたからぎゃっという悲鳴をだした。あきれた顔の父は兄さんを迎えに行くようだ、彼女の腕をつかみ止めさせる
「ちょ、なに、なんなんだよぉ大弥ちゃん」
「なんでもないのよ〜…ただァ〜私の“お兄ちゃん”にしちゃぁ交流あるな〜とか思っちゃっただけで」
「年は近いし俺は大弥ちゃんのこと好きだし、そりゃ仲良くするよ」
「ふぅん…」
よくわからない表情をしてすぐに目をふせた彼女は視力が低く俺のことさえぼやけているのだろう、俺は五体満足だし欠陥も無いため苦労は計り知れない。が、それを表に出せば大弥ちゃんが俺の大切ななにかをとってしまう、それだけは勘弁してほしいのだ。(昔、一度だけとられたがすぐに返してもらったことがある。あれは遊びだったらしい)
「はい、できた。大弥ちゃんの髪の毛またいじらしてね」
「やぁーよ、私が困ってるときだけしかAAAには触らしてあげない」
「えっ、それは困る」
「真顔やめてよ」
クスクス笑った大弥ちゃんは整った髪をサラサラと触り歌を歌いながらリビングをくるくると踊るように歩いていく、入れ替わるように家政婦の虹村さんが入ってきたからにっと笑ってみせた。
「あ、おはようございます虹村さん」
「…おはようございます」
彼女との交流は難しいことばかりだ。


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