「まじでぇ、生きてるじゃん」
手にだけ拘束具をつけられたAAAは片腕はないがピンピンしている市丸を見て顔を歪めた。静かな印象しかないギンは見慣れない姿に少しばかり驚く。
「え?助けてくれたんじゃないんです?」
一緒に来ていた乱菊も驚いた声を上げる。がAAAの反応は変わらず「はぁ〜〜???誰が助けるかよ」と声をあげられてしまった。心底嫌そうな顔だ。
AAAは藍染よりは軽い終身刑に似たものをあたえられた。軽いと表記したのは手にだけある程度自由のきく拘束具がつけられてひと部屋をゆったり使った力を使えない獄に入れられているからであり、刑期の長さとはまた別だ。どうなるかは追い追い決まる、とギンは聞いている。おそらく、ひどく残酷な刑になるのではないかともっぱらの噂だ。なのに、どうだろう彼女は。なんの変わりもなく過ごしている。獄の近くには昔彼女とともにいたことのあるがらの悪い彼女の同僚達が下品で下世なことを話しているし、彼女もギン達がくるまで彼らの話に獄越しにまざっていた。案外彼女も下品で口が悪い。昔のようだ、と思う。流石に自分たちより階級も実力も上なギンや乱菊に仕事や持ち場を離れていることをとやかく言われないためにサッと逃げてしまったが。彼らもまた、彼女とあまり関係なく昔のようだ。
「あんたらを助けた気はない。これで、話はおしまい。帰った、帰った」
「えぇ、そんな薄情なこと言わんとって、AAAさん」
「ハッ、AAAさんとか、気持ち悪い」
獄越しで馬鹿にしたように嘲笑うかのように笑う彼女に乱菊はゾッとしたものが背中をかける。目が、いや、その奥が暗くて、真っ正面から見てしまったためにゾッとしたのだ。沼か、闇か、底のない穴か、なにかはわからないが、たしかにそれは人のする目にはほど遠く、虚の穴に似たなにかだった。
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