「おなかすいた・・・」
「さっきいっぱいやったろ、グラトニー」

どこかで拾った双眼鏡でえらい人混みの中を覗いていると、見覚えのある顔が数人。とくに目立つのは真っ赤っかなコートを着た小さいのと仰々しい鎧のせいで大道芸人か何かと間違えられているデカいの。整った顔した焔のアンちゃんも居て、これはちょっと愉しそうかもしれない。
向かいの住宅のベランダから顔を出していた女の姿を借りて路地裏に飛び降りると、すぐ近くのカフェでおチビちゃん達が金髪で背の高い男と会話しているのが見えた。

「ハボックさんの私服姿って新鮮ですねぇ、今日は遊びに来られたんですか?」
「いや、こう見えて仕事。デートだったらもっと浮かれた顔してるっての・・・・」
「それはまあ、なんていうか、お疲れ様っす・・・」
「なぁんてな!二人は?これ初めてか」
「あぁ。この前ヒューズさんに聞いて来てみたんだけど、それにしてもスンゲー人!」

世間話もほどほどに、おチビちゃん達が去って行く。追いかけようと路地を抜けた時、ふと目に止まる金髪の男。私服姿で仕事、アイツらと面識があって、このガタイの良さ・・・。こっちも面白いかもしれない。テラス席に座る彼の目の前の椅子に手を掛けると、驚いた様にこちらを向かれた。

「どこも空いてなくて。相席してもいいですか?」
「どっ、どうぞ!どうぞ!」


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