どうしてこうなった
「あ〜〜やられた〜〜〜〜」
「あれっ、傘持ってなかったんですか?」
社長にお使いを頼まれ近くのコンビニに行った帰り、突然の通り雨でずぶ濡れになってしまった私に賢君は災難でしたねぇと笑う。
こちらとしてはまったく笑いごとではないのだけど、逆の立場なら私だって笑っただろうから仕方が無い。
肌寒くなってきた今の季節にこれは辛い……
「シャワー室使いますか?」
「えっ、いいよあと帰るだけだし……」
「今日はもう誰も戻ってきませんし、入ってる間に乾燥機使っちゃえば解決ですよ!」
「……確かに」
僕も社長ももう退社するので、戸締りだけお願いしますね!
そう言って笑顔でタオルを押し付けてきた賢君にお礼を言って、シャワー室に来たのが少し前の話。
今私は、人生でそこそこ大きな部類に入る失敗に頭を抱えていた。
「あれ、名前?」
「……類……」
更衣室でばったりなんて、今時漫画でも流行らないから!!!!
脳内でつっこんでみても現状はかわらない。
中に誰か居るなんて考えもしなかった私は、ノックもせずに更衣室に入ってしまった。
さて入るかとジャケットを脱いだ時、シャワー室から丁度上って来た類が……類、が……
衝撃の光景に数秒フリーズした頭をなんとか働かせて類に背中を向け扉に手をかける。
「ごっごめん!出るから!って、うわ!」
「名前!」
けれど焦った私の手は扉に辿り着く前に空を切った。
濡れた床に足を滑らせるなんてまたベタな……
「ったたた……名前、Are you ok?」
「……ご、ごめん……類こそだいじょう……ぶ……」
覚悟した衝撃が来ず、類が下敷きになってくれたの理解して慌てて顔を上げる。
丁度後ろから抱えられるような体制になってしまい、私はまたフリーズすることになった
「あは、変な顔」
ぽたり、類の髪の水滴が私の額に落ちる。
背中がぴったりと類の胸にくっついていて、じわりと伝わる素肌の感覚に眩暈がした。
「も、ほんとにごめん……まさか類が入ってるとは……」
「No problemだよ。それに……」
「ぅえっ」
なぜか床についていた類の手が私のお腹にまわる。
そのままぐい、と引き寄せられてマヌケな声が出てしまった
「るるるるるるいさん?????」
密着度が高くなって一気に心拍数が上がる。
思わずどもってしまうのもしょうがないだって相手はタオル1枚でほぼ裸!!!
近すぎる距離で死にそうなので離れようとしても、類の腕はそれを許してくれない
「俺も良いモノみれたし、おあいこだね」
透けてるよ
私の耳元で小さく呟いた類の指先が、ブラのラインをくすぐるようになぞる。良いモノって!中学生男子か!!!
「やっ」
するすると胸元を行き来する手に抵抗しようと類の手を強めに叩く。
けれどそのまま一番上のボタンが外されて、私はいよいよ抗議の声を上げた。
「ちょっ…」
「体冷えちゃうでしょ」
「類だってそうでしょ……!」
だから早く服を着ろ!という意味を込めて睨んでも、類はきょとりとした顔で数度瞬きする。
そしてあぁ、そうだよね、と悪戯に笑って、手早く私のブラウスのボタンがすべて外された
「な、何がそうだよね!?わかってないでしょ!」
「?だから一緒に入りたいって事じゃないの?」
「そんなわけないよね!?!?」
どう聞いたらそうなるわけ!?類の掌が服に入りこんで、下着のホックが外される。
いよいよ冗談ではすまないこの状況に、私の頭はパンク寸前だ
「も、洒落になんないってば、類、」
「……洒落だと思う?」
「ど、んぅ」
どういう意味、という言葉は類の唇に遮られて音にならなかった。
侵入してきた舌が無遠慮に口内を動き回りぞくぞくとした快感が体を支配する。べろりと私の唇を舐めた類の目に含まれた欲に、気付かないフリは出来そうにない。
(一体どこにそんな気分になる要素が……!)