敗北
嵐の守護者戦を絵美はこっそり観戦した。
絵美の嫌いなシャマルが隼人の家庭教師を務めたようで姿を現しており、彼女は不快感を覚えたが、隼人が負けたため絵美は少しだけザマーミロと気分がスッキリした。
一方ザンザスは観戦することなく、部屋で飲みながら過ごした。
ヴァリアーが圧勝すると思われていたリング争奪戦は、雨の守護者でありヴァリアーのNo.2たるスクアーロが負けてから流れが変わり、3連敗を喫していた。
しかし、ザンザスは初めからこの展開を想定していたどころか、むしろ期待していたらしく、目論見通りに雲の守護者のゴーラ・モスカを中にいる9代目ごと沢田綱吉に壊させ、最終戦の大空戦にて名目上9代目の弔い合戦を行うこととなった。
ザンザスは大空戦終了後沢田綱吉の関係者を全て始末する任務の指揮を絵美に任せた。
ザンザスの勝利を確信しながら、並盛町全域にヴァリアー隊員を展開させた。
絵美自身は中山外科病院という廃病院を監視していた。
ビアンキとイーピンがそこにいたからだ。
今並盛中に集まっているメンバーを除いて、沢田綱吉の関係者で明確にマフィア関係者なのは、彼女の姉のビアンキと拳法家のイーピン及びトマゾファミリーの面々だけなのだ。
他は取るに足らない者達なので絵美はお互いそれなりに手札を知っているビアンキを最も警戒していた。
ヴァリアー幹部の次に強い精鋭達を集めたにも関わらず、ビアンキはちゃんと敵の存在に気付いた。
そして病院から姿を現した。
その両手には悍ましい料理が。
「(皆殺気を上手く消しているのに気付くなんて、さすがお姉様…)」
絵美は少し関心しつつも、通信機で指示を出した。
「あちらも気付いているようだからもう消してしまいましょう。」
その言葉を合図にビアンキに最も近い場所に身を隠していた3人が飛び出した。
その瞬間だった。
大きな鐵 の球が飛び出してきたのは。
「 暴蛇烈覇 !!」
その球は3人を吹き飛ばした。
「あなたは…!!」
ビアンキは彼を知っているようだった。
絵美も電灯の下にて彼が晒した顔を見て、記憶からその情報を引き出した。
「北イタリア惨殺事件のランチアだ…!!」
絵美はすぐに単純な膂力はヴァリアー内で彼に敵う者がいないことを悟った。
「Bグループ、中山外科病院に応援を!Cグループも!Dはそのまま待機!動きがあったら知らせて!」
Bグループはトマゾファミリー、Cグループは山本武の父親を見張っていた。
グループと言ってもそれぞれ2人ずつなので、大した応援にはならない。
「レヴィ雷撃隊、作戦η !開始!」
レヴィ雷撃隊が飛び出し、一斉に男に襲いかかったが彼らも巨大鉄球の餌食になった。
「お前はボンゴレの仲間だったな。コイツらは俺が引き受ける。」
ランチアはビアンキに話しかけた。
「なぜ、あなたが?信用していいの?」
「俺はボンゴレに礼を言いに来た。ボンゴレに負けはしたが……俺は強いぞ?」
「そうね。中にママン達がいるから、あなたにお願いするわ。ツナ達は今並中で戦ってるの。彼らが撤退するならそこに集結するはずだわ。」
そう言ってビアンキは病院の中に引っ込んだ。
絵美は次の指示を出したが、ランチアは次のアクションを起こした隊員を全て薙ぎ倒した。
「私が抑える!近接向きの武器の隊員は隙を狙って!」
絵美はランチアの前に姿を現した。
「これ以上は行かせない。」
時がしばらく経ち、並盛中ではヴァリアーが勝利条件である7つのボンゴレリングを揃えたが、ザンザスが9代目の実子ではないという事実が判明した。
審判であるチェルベッロはザンザスにリングが適正か協議する必要があると言ったが、ザンザスは10代目になる夢が叶わないのなら、道連れにすると言った。
沢田綱吉率の守護者達はザンザス、ベルフェゴール、マーモンを取り囲んだ。
「総勢50名の生え抜きのヴァリアー隊がまもなくここに到着するのさ。」
強気に出る綱吉ファミリーにマーモンは告げた。
最初から綱吉の関係者は始末するつもりだったと。
観覧席にいた面々もチェルベッロの許可を得て参戦しようとしたが、マーモンの工作で観覧席の赤外線センサーを切ることができず、観覧席に閉じ込められた。
そんな中、3人のヴァリアー隊員が並盛中の塀に現れた。
「報告します!我々と絵美様以外のヴァリアー隊全滅!!!」
到着した連絡係の内、1人はすぐに倒れた。
残り2人も酷い顔色だった。
「奴は強すぎます!!絵美様がなんとか抑えていますが、鬼神のごとき男がまもなく…」
そして彼らはランチアと絵美の戦闘音に気付き、一層顔を青ざめさせた。
「 暴蛇烈覇 !!」
連絡係の2人は鉄球に吹き飛ばされた。
それとは別に飛んできた女性がいた。
絵美だ。
「申し訳ございません!ボス!あの男の侵攻を止められませんでした!」
疲労困憊で起き上がれないザンザスは絵美を睨みつけた。
絵美は睨まれたことよりもザンザスのその姿に驚いた。
そしてヴァリアー隊員がベルフェゴールとマーモンしかいないことにも。
そして彼女の双子の兄である隼人も驚いていた。
妹とこんな形で再会するとは思っていなかった上、下手すれば彼女は死んでいるか、上手くいっていれば一般人になっていると思っていたからだ。
「なんで絵美が…!」
だが、状況は兄妹喧嘩をしている場合ではなかった。
とりあえず絵美はザンザス達に合流したが、圧倒的不利な状況は変わらず、ベルフェゴールとマーモンは降伏を選択した。
「ベルさん…マーモンさん……私は嫌です…!降伏なんか…!」
「うっせぇ!絵美…!役立たずのカス共が…くそ!ちくしょう!てめーら全員!!!呪い殺してやる!!!」
ザンザスは叫んだ。
チェルベッロの女達がゾロゾロとヴァリアーを取り囲む。
「ボスに近付かないで!」
絵美はザンザスを庇う位置に立ち、ダイナマイトを取り出した。
チェルベッロは距離を置いたまま、ザンザスの敗北を告げた。
そしてザンザスは意識を手放した。
沢田綱吉も。
「ボス…!」
「…おい!絵美!!」
隼人が絵美を呼んで、綱吉の傍を離れ絵美のもとへ走ってきた。
絵美は手に持っていたダイナマイトを着火させ、隼人に投げつけた。
「チッ…!」
隼人はダイナマイトを避けるのに精一杯でこれ以上近づけなかった。
「テメェ、なんでヴァリアーに…!!」
絵美はその質問には答えなかった。
そして隼人が次のダイナマイトを避けたタイミングで、彼が最も忌み嫌っているであろうポイズンクッキングのショートケーキを投げた。
彼が青ざめながら避けた瞬間を狙って、彼女は剣で彼を斬りつけようとした、しかし。
「…っ!!」
絵美の全身が痺れ、そのまま前に倒れた。
指1本動かすのも激痛だった。
その瞬間、悟った。
誰がこんな真似をしたのかを。
「シャマル…!!」
「おじさんのことを覚えててくれて嬉しいねぇ」
どうやら観覧席にいた面々が解放されたらしい。
キャバッローネファミリーと思われる男達がゾロゾロと並盛中の校庭に入ってきている。
そして絵美の全身を痺れさせたのはまさに彼女の前にいる男、Dr.シャマルだろう。
彼のトライデント・モスキートはシャマルがただの蚊に見えて、体内に内在させている666種類の不治の病原菌を他者へと媒介する。
幼少期の絵美が盗もうと試みたが、盗めなかった技だ。
「おじさんがチューしてあげようか?」
「キモい!近づかくな!…うっ!!」
絵美は反射的に拒絶した。
声を張り上げたことで全身に痛みが走った。
「そーだ!シャマル!テメェは絵美に近づくんじゃねぇ!」
隼人も絵美に便乗した。
「おいおい…俺はお前達兄妹が殺し合わないよう助けたんだぜ?」
「何が助けたよ…!?こんな真似しておいて…!」
「おーおー、威勢がいいね、絵美ちゃん。一言喋るだけでも激痛だろうに。」
「テメェ、絵美に何しやがった!?」
隼人はシャマルの襟首を掴んで問い詰めた。
「落ち着けって。後でちゃんと治すさ。」
そしてキャバッローネの男達が現れる。
「獄寺さん、Dr.シャマル。他のヴァリアーの面々は拘束しました。あとはそこの女性だけです。我々が一旦預かっても?」
「ああ」
「勝手に決めんな!」
了承するシャマルに隼人は突っかかった。
「奴らに任せとけ、隼人。ヴァリアーである以上、お前の妹だからって特別扱いは良くない。」
「特別扱いなんか…!」
隼人は言い返そうとするものの、頭の中ではシャマルの言い分が正しいと理解していて、それ以上言葉が出なかった。
拘束され連行される瞬間、絵美は悔しさを滲ませた表情のまま、再度シャマルを睨んだ。
絵美の嫌いなシャマルが隼人の家庭教師を務めたようで姿を現しており、彼女は不快感を覚えたが、隼人が負けたため絵美は少しだけザマーミロと気分がスッキリした。
一方ザンザスは観戦することなく、部屋で飲みながら過ごした。
ヴァリアーが圧勝すると思われていたリング争奪戦は、雨の守護者でありヴァリアーのNo.2たるスクアーロが負けてから流れが変わり、3連敗を喫していた。
しかし、ザンザスは初めからこの展開を想定していたどころか、むしろ期待していたらしく、目論見通りに雲の守護者のゴーラ・モスカを中にいる9代目ごと沢田綱吉に壊させ、最終戦の大空戦にて名目上9代目の弔い合戦を行うこととなった。
ザンザスは大空戦終了後沢田綱吉の関係者を全て始末する任務の指揮を絵美に任せた。
ザンザスの勝利を確信しながら、並盛町全域にヴァリアー隊員を展開させた。
絵美自身は中山外科病院という廃病院を監視していた。
ビアンキとイーピンがそこにいたからだ。
今並盛中に集まっているメンバーを除いて、沢田綱吉の関係者で明確にマフィア関係者なのは、彼女の姉のビアンキと拳法家のイーピン及びトマゾファミリーの面々だけなのだ。
他は取るに足らない者達なので絵美はお互いそれなりに手札を知っているビアンキを最も警戒していた。
ヴァリアー幹部の次に強い精鋭達を集めたにも関わらず、ビアンキはちゃんと敵の存在に気付いた。
そして病院から姿を現した。
その両手には悍ましい料理が。
「(皆殺気を上手く消しているのに気付くなんて、さすがお姉様…)」
絵美は少し関心しつつも、通信機で指示を出した。
「あちらも気付いているようだからもう消してしまいましょう。」
その言葉を合図にビアンキに最も近い場所に身を隠していた3人が飛び出した。
その瞬間だった。
大きな
「
その球は3人を吹き飛ばした。
「あなたは…!!」
ビアンキは彼を知っているようだった。
絵美も電灯の下にて彼が晒した顔を見て、記憶からその情報を引き出した。
「北イタリア惨殺事件のランチアだ…!!」
絵美はすぐに単純な膂力はヴァリアー内で彼に敵う者がいないことを悟った。
「Bグループ、中山外科病院に応援を!Cグループも!Dはそのまま待機!動きがあったら知らせて!」
Bグループはトマゾファミリー、Cグループは山本武の父親を見張っていた。
グループと言ってもそれぞれ2人ずつなので、大した応援にはならない。
「レヴィ雷撃隊、作戦
レヴィ雷撃隊が飛び出し、一斉に男に襲いかかったが彼らも巨大鉄球の餌食になった。
「お前はボンゴレの仲間だったな。コイツらは俺が引き受ける。」
ランチアはビアンキに話しかけた。
「なぜ、あなたが?信用していいの?」
「俺はボンゴレに礼を言いに来た。ボンゴレに負けはしたが……俺は強いぞ?」
「そうね。中にママン達がいるから、あなたにお願いするわ。ツナ達は今並中で戦ってるの。彼らが撤退するならそこに集結するはずだわ。」
そう言ってビアンキは病院の中に引っ込んだ。
絵美は次の指示を出したが、ランチアは次のアクションを起こした隊員を全て薙ぎ倒した。
「私が抑える!近接向きの武器の隊員は隙を狙って!」
絵美はランチアの前に姿を現した。
「これ以上は行かせない。」
× × × × × × × × × × ×
時がしばらく経ち、並盛中ではヴァリアーが勝利条件である7つのボンゴレリングを揃えたが、ザンザスが9代目の実子ではないという事実が判明した。
審判であるチェルベッロはザンザスにリングが適正か協議する必要があると言ったが、ザンザスは10代目になる夢が叶わないのなら、道連れにすると言った。
沢田綱吉率の守護者達はザンザス、ベルフェゴール、マーモンを取り囲んだ。
「総勢50名の生え抜きのヴァリアー隊がまもなくここに到着するのさ。」
強気に出る綱吉ファミリーにマーモンは告げた。
最初から綱吉の関係者は始末するつもりだったと。
観覧席にいた面々もチェルベッロの許可を得て参戦しようとしたが、マーモンの工作で観覧席の赤外線センサーを切ることができず、観覧席に閉じ込められた。
そんな中、3人のヴァリアー隊員が並盛中の塀に現れた。
「報告します!我々と絵美様以外のヴァリアー隊全滅!!!」
到着した連絡係の内、1人はすぐに倒れた。
残り2人も酷い顔色だった。
「奴は強すぎます!!絵美様がなんとか抑えていますが、鬼神のごとき男がまもなく…」
そして彼らはランチアと絵美の戦闘音に気付き、一層顔を青ざめさせた。
「
連絡係の2人は鉄球に吹き飛ばされた。
それとは別に飛んできた女性がいた。
絵美だ。
「申し訳ございません!ボス!あの男の侵攻を止められませんでした!」
疲労困憊で起き上がれないザンザスは絵美を睨みつけた。
絵美は睨まれたことよりもザンザスのその姿に驚いた。
そしてヴァリアー隊員がベルフェゴールとマーモンしかいないことにも。
そして彼女の双子の兄である隼人も驚いていた。
妹とこんな形で再会するとは思っていなかった上、下手すれば彼女は死んでいるか、上手くいっていれば一般人になっていると思っていたからだ。
「なんで絵美が…!」
だが、状況は兄妹喧嘩をしている場合ではなかった。
とりあえず絵美はザンザス達に合流したが、圧倒的不利な状況は変わらず、ベルフェゴールとマーモンは降伏を選択した。
「ベルさん…マーモンさん……私は嫌です…!降伏なんか…!」
「うっせぇ!絵美…!役立たずのカス共が…くそ!ちくしょう!てめーら全員!!!呪い殺してやる!!!」
ザンザスは叫んだ。
チェルベッロの女達がゾロゾロとヴァリアーを取り囲む。
「ボスに近付かないで!」
絵美はザンザスを庇う位置に立ち、ダイナマイトを取り出した。
チェルベッロは距離を置いたまま、ザンザスの敗北を告げた。
そしてザンザスは意識を手放した。
沢田綱吉も。
「ボス…!」
「…おい!絵美!!」
隼人が絵美を呼んで、綱吉の傍を離れ絵美のもとへ走ってきた。
絵美は手に持っていたダイナマイトを着火させ、隼人に投げつけた。
「チッ…!」
隼人はダイナマイトを避けるのに精一杯でこれ以上近づけなかった。
「テメェ、なんでヴァリアーに…!!」
絵美はその質問には答えなかった。
そして隼人が次のダイナマイトを避けたタイミングで、彼が最も忌み嫌っているであろうポイズンクッキングのショートケーキを投げた。
彼が青ざめながら避けた瞬間を狙って、彼女は剣で彼を斬りつけようとした、しかし。
「…っ!!」
絵美の全身が痺れ、そのまま前に倒れた。
指1本動かすのも激痛だった。
その瞬間、悟った。
誰がこんな真似をしたのかを。
「シャマル…!!」
「おじさんのことを覚えててくれて嬉しいねぇ」
どうやら観覧席にいた面々が解放されたらしい。
キャバッローネファミリーと思われる男達がゾロゾロと並盛中の校庭に入ってきている。
そして絵美の全身を痺れさせたのはまさに彼女の前にいる男、Dr.シャマルだろう。
彼のトライデント・モスキートはシャマルがただの蚊に見えて、体内に内在させている666種類の不治の病原菌を他者へと媒介する。
幼少期の絵美が盗もうと試みたが、盗めなかった技だ。
「おじさんがチューしてあげようか?」
「キモい!近づかくな!…うっ!!」
絵美は反射的に拒絶した。
声を張り上げたことで全身に痛みが走った。
「そーだ!シャマル!テメェは絵美に近づくんじゃねぇ!」
隼人も絵美に便乗した。
「おいおい…俺はお前達兄妹が殺し合わないよう助けたんだぜ?」
「何が助けたよ…!?こんな真似しておいて…!」
「おーおー、威勢がいいね、絵美ちゃん。一言喋るだけでも激痛だろうに。」
「テメェ、絵美に何しやがった!?」
隼人はシャマルの襟首を掴んで問い詰めた。
「落ち着けって。後でちゃんと治すさ。」
そしてキャバッローネの男達が現れる。
「獄寺さん、Dr.シャマル。他のヴァリアーの面々は拘束しました。あとはそこの女性だけです。我々が一旦預かっても?」
「ああ」
「勝手に決めんな!」
了承するシャマルに隼人は突っかかった。
「奴らに任せとけ、隼人。ヴァリアーである以上、お前の妹だからって特別扱いは良くない。」
「特別扱いなんか…!」
隼人は言い返そうとするものの、頭の中ではシャマルの言い分が正しいと理解していて、それ以上言葉が出なかった。
拘束され連行される瞬間、絵美は悔しさを滲ませた表情のまま、再度シャマルを睨んだ。
back to index
back to top