待て、しかして希望せよ
僕は並盛中へと逃げた。
ツナ君やリボーン様と合流できる可能性が高いし、木を隠すなら木の中、中学生を隠すなら中学生の中だからだ。
「いた!優希!」
ツナ君が鬼気迫る表情でこっちに走ってくる。
その隣でリボーン様が並中の塀を走っている。
「良かった…!」
ツナ君は息を切らしながら僕の両肩を掴んでそう言った。
「どうしたの?」
「じ、実は…優希が黒曜生に狙われてるかもしれなくて…」
「黒曜生?もしかしてカーキ色の制服の?」
「そうそう…って、え!?まさか!?」
「うん、ついさっき襲われたよ。上手く撒いて逃げて来たけど。」
僕はリボーン様に視線を移した。
「優希、本当に上手く撒けたのか?」
リボーン様の問いに僕は頷く。
「うん、人離れした能力を持っている人だったけど、1番ネックになりそうな嗅覚を潰すために香水ぶち撒けてきたんだ。丸々一瓶分の香水を被ってるからしばらく鼻は使い物にならなくなると思うよ。それに今並中女子で流行ってる香水だから1度並中に入っちゃえば匂いでの追跡はもう無理だと思うな。」
「なら、大丈夫だろうな。ツナ、優希が逃げ切れたとなれば次に狙われるのは3位の奴だ。早く向かってやれ。」
「リボーンは?」
「オレは優希に詳しい話を聞きつつ、気になることを調べる。」
「ええー!?オレ1人!?」
「獄寺が了平達みたいになっても良いのか?」
「っ〜〜〜!わかった!行ってくるよ!優希はできるだけ1人で行動しないでね!」
ツナ君は走り去って行った。
「じゃあ、話を聞かせろ。」
リボーン様は早速僕に対して事情聴取を始めた。
僕は得た情報を全て話した。
「城島犬にムクロ…。特定できそうだな。オレはディーノに当たってみる。お前は学校の中にいろ。」
「えっ?ツナ君を追いかけちゃダメなんですか?今まさにリボーン様の目が届かない時ですよね?」
「見ろ、このレオンの様子を。」
リボーン様の手の中のレオンは七変化している。
タコになったり、亀になったり、虫になったり、掃除機になったり。
それがどうしたというのだろう。
「レオンがこうなったってことはツナに試練が訪れてるってことだ。」
「試練?」
「ああ、ディーノの時もこうなった。」
「試練なら尚更一緒に…」
「ダメだ。お前の能力は強力過ぎる。」
「リボーン様……」
無意識に下唇を噛んでいることに今更気付いた。
「バリエラの使命はブラッド・オブ・ボンゴレを守ることです。使命を果たさせてください。」
「ダメだ。これは9代目の意向でもあるんだ。」
「…っ!!」
「その代わりお前に頼みがある。」
「何ですか?」
「ハルの警護だ。」
「ハルちゃんの?」
「京子のことはシャマルに頼むつもりだ。ツナがボンゴレ10代目だとバレるのは時間の問題だろう。バレたら関わりのある一般人が人質に取られるのが目に見えてる。」
「……わかりました。」
頭では理解していても気持ちは追いつきそうにない。
でもハルちゃんは僕の友達だから彼女の警護は少しだけ気が紛れそうだ。
「あ、奈々さんは?」
「颯太に頼んだ。」
叔父さんが護衛してくれるなら安心だ。
「ランボとイーピンも泳がせると危ねぇ。ハルの護衛をしつつ2人まとめて面倒を見てくれ。任せたぞ。」
「はい。」
「優希、ツナを信じて待て。」
「!…はい。」
僕は頷いてガムテープと1本のバットをかっぱらって緑中へと向かった。
リボーン様の予想は当たった。
見るからに凶悪な黒曜中の制服を着た禿頭がハルちゃんをストーカーし始めた。
彼が硫酸を手に持った瞬間、僕は動いた。
音もなく背後から近付き、野球のスイングの要領で容赦なくバットでストーカーの横っ腹を殴った。
「ギギギィィィィッ」
コウモリみたいな悲鳴を上げてストーカーは倒れる。
バットは力を入れ過ぎたせいか、真っ二つに折れてしまった。
「やっば、野球部に謝らなきゃ…」
「はひ!?優希ちゃん!?何事ですか!?バットなんて持ってデンジャラスですよ!!」
「僕よりこの人の方がデンジャラスです!」
「はひ!?」
僕は振り返ってハルちゃんを一緒に尾行していたランボ君とイーピンちゃんと目を合わせた。
「ランボ君!イーピンちゃん!ハルちゃんを連れてって!」
「任せろだもんね!」
「交给我」
2人は予めお願いした通りにハルちゃんを連れて行った。
集合場所は近くの公園にしてある。
「ギィィイィ!」
ストーカーは逆上しながら僕に襲いかかって来る。
両拳を振り下ろしてきたのでそれを避けながら後ろに回り込み、壊れたバットを完全に折って手元に残った方でストーカーの後頭部を容赦なくぶん殴った。
「ギッ…」
ストーカーは前に倒れる。
ピクピク痙攣していたが、すぐに力が抜けて意識を失った。
警戒しながら呼吸と脈拍を確認する。
どうやらまだ生きているようだ。
僕はバッグを漁ってガムテープを取り出し、ストーカーをグルグル巻きにして道端に放り捨てた。
さっきから妙に黄色い小鳥が僕達の周りを旋回している。
よくよく見たら足の太さが違って、僕は小石を拾って小鳥に投げつけた。
「ピィッ」
小石はちゃんと命中して小鳥は墜ちる。
その小鳥を拾い上げて確認してみれば小型のカメラがついていて、思わず眉間に皺を寄せた。
「嫌な仕事させないでよ。」
それだけ呟いて、カメラを指圧で壊した。
ぐったりしている小鳥に心が痛む。
でもハルちゃんをこのまま追跡される訳にはいかないから仕方がない。
僕は小鳥の死骸をストーカーの傍に置いた。
叔父さんに電話をかけて事情を話し、後処理は任せることにした。
そして不安で怖がっているであろうハルちゃんと合流すべく、イーピンちゃんとランボ君と約束した公園に向かった。
ツナ君達は並中生を襲った犯人達を成敗すべく敵地に乗り込んだこと、それゆえにツナ君達と仲良いハルちゃんが狙われる可能性を考慮し僕達がこっそり護衛していたことを説明すると、ハルちゃんは顔を泣きそうな顔でいつものように「はひー!!」と悲鳴を上げた。
「何やってるんですか!?犯人のアジトに乗り込むなんて正気じゃありません!」
「ガハハ、ハル泣いてるもんね!」
まだ気遣いを覚えられていないランボ君が無神経に揶揄う。
こういうのも最近は慣れたな。
「な…泣いてません!!ハルはマフィアのボスの妻になるんです。こんなことで泣きませんよ。ツナさん、頑張ってください!」
「大丈夫、ツナ君って優しいイメージが強いだろうけど、ああ見えて大切な人が傷つけられることにはしっかり怒る人だから。それに獄寺君と山本君とビアンキさんとリボーン君もついてる。みんなで勝って帰って来るよ。」
本当は凄く怖い。
城島君なら持久戦に持ち込まれさえしなければ、死ぬ気モードのツナ君が勝つだろう。
でも彼以上の相手だと短期決戦にしろ持久戦にしろ、死ぬ気モードでも負ける可能性がないとは言い切れない。
だから怖い。
でも信じて待つと決めたから。
お願い、無事で帰ってきて、ツナ君。
ツナ君やリボーン様と合流できる可能性が高いし、木を隠すなら木の中、中学生を隠すなら中学生の中だからだ。
「いた!優希!」
ツナ君が鬼気迫る表情でこっちに走ってくる。
その隣でリボーン様が並中の塀を走っている。
「良かった…!」
ツナ君は息を切らしながら僕の両肩を掴んでそう言った。
「どうしたの?」
「じ、実は…優希が黒曜生に狙われてるかもしれなくて…」
「黒曜生?もしかしてカーキ色の制服の?」
「そうそう…って、え!?まさか!?」
「うん、ついさっき襲われたよ。上手く撒いて逃げて来たけど。」
僕はリボーン様に視線を移した。
「優希、本当に上手く撒けたのか?」
リボーン様の問いに僕は頷く。
「うん、人離れした能力を持っている人だったけど、1番ネックになりそうな嗅覚を潰すために香水ぶち撒けてきたんだ。丸々一瓶分の香水を被ってるからしばらく鼻は使い物にならなくなると思うよ。それに今並中女子で流行ってる香水だから1度並中に入っちゃえば匂いでの追跡はもう無理だと思うな。」
「なら、大丈夫だろうな。ツナ、優希が逃げ切れたとなれば次に狙われるのは3位の奴だ。早く向かってやれ。」
「リボーンは?」
「オレは優希に詳しい話を聞きつつ、気になることを調べる。」
「ええー!?オレ1人!?」
「獄寺が了平達みたいになっても良いのか?」
「っ〜〜〜!わかった!行ってくるよ!優希はできるだけ1人で行動しないでね!」
ツナ君は走り去って行った。
「じゃあ、話を聞かせろ。」
リボーン様は早速僕に対して事情聴取を始めた。
僕は得た情報を全て話した。
「城島犬にムクロ…。特定できそうだな。オレはディーノに当たってみる。お前は学校の中にいろ。」
「えっ?ツナ君を追いかけちゃダメなんですか?今まさにリボーン様の目が届かない時ですよね?」
「見ろ、このレオンの様子を。」
リボーン様の手の中のレオンは七変化している。
タコになったり、亀になったり、虫になったり、掃除機になったり。
それがどうしたというのだろう。
「レオンがこうなったってことはツナに試練が訪れてるってことだ。」
「試練?」
「ああ、ディーノの時もこうなった。」
「試練なら尚更一緒に…」
「ダメだ。お前の能力は強力過ぎる。」
「リボーン様……」
無意識に下唇を噛んでいることに今更気付いた。
「バリエラの使命はブラッド・オブ・ボンゴレを守ることです。使命を果たさせてください。」
「ダメだ。これは9代目の意向でもあるんだ。」
「…っ!!」
「その代わりお前に頼みがある。」
「何ですか?」
「ハルの警護だ。」
「ハルちゃんの?」
「京子のことはシャマルに頼むつもりだ。ツナがボンゴレ10代目だとバレるのは時間の問題だろう。バレたら関わりのある一般人が人質に取られるのが目に見えてる。」
「……わかりました。」
頭では理解していても気持ちは追いつきそうにない。
でもハルちゃんは僕の友達だから彼女の警護は少しだけ気が紛れそうだ。
「あ、奈々さんは?」
「颯太に頼んだ。」
叔父さんが護衛してくれるなら安心だ。
「ランボとイーピンも泳がせると危ねぇ。ハルの護衛をしつつ2人まとめて面倒を見てくれ。任せたぞ。」
「はい。」
「優希、ツナを信じて待て。」
「!…はい。」
僕は頷いてガムテープと1本のバットをかっぱらって緑中へと向かった。
× × × × × × × × × × ×
リボーン様の予想は当たった。
見るからに凶悪な黒曜中の制服を着た禿頭がハルちゃんをストーカーし始めた。
彼が硫酸を手に持った瞬間、僕は動いた。
音もなく背後から近付き、野球のスイングの要領で容赦なくバットでストーカーの横っ腹を殴った。
「ギギギィィィィッ」
コウモリみたいな悲鳴を上げてストーカーは倒れる。
バットは力を入れ過ぎたせいか、真っ二つに折れてしまった。
「やっば、野球部に謝らなきゃ…」
「はひ!?優希ちゃん!?何事ですか!?バットなんて持ってデンジャラスですよ!!」
「僕よりこの人の方がデンジャラスです!」
「はひ!?」
僕は振り返ってハルちゃんを一緒に尾行していたランボ君とイーピンちゃんと目を合わせた。
「ランボ君!イーピンちゃん!ハルちゃんを連れてって!」
「任せろだもんね!」
「交给我」
2人は予めお願いした通りにハルちゃんを連れて行った。
集合場所は近くの公園にしてある。
「ギィィイィ!」
ストーカーは逆上しながら僕に襲いかかって来る。
両拳を振り下ろしてきたのでそれを避けながら後ろに回り込み、壊れたバットを完全に折って手元に残った方でストーカーの後頭部を容赦なくぶん殴った。
「ギッ…」
ストーカーは前に倒れる。
ピクピク痙攣していたが、すぐに力が抜けて意識を失った。
警戒しながら呼吸と脈拍を確認する。
どうやらまだ生きているようだ。
僕はバッグを漁ってガムテープを取り出し、ストーカーをグルグル巻きにして道端に放り捨てた。
さっきから妙に黄色い小鳥が僕達の周りを旋回している。
よくよく見たら足の太さが違って、僕は小石を拾って小鳥に投げつけた。
「ピィッ」
小石はちゃんと命中して小鳥は墜ちる。
その小鳥を拾い上げて確認してみれば小型のカメラがついていて、思わず眉間に皺を寄せた。
「嫌な仕事させないでよ。」
それだけ呟いて、カメラを指圧で壊した。
ぐったりしている小鳥に心が痛む。
でもハルちゃんをこのまま追跡される訳にはいかないから仕方がない。
僕は小鳥の死骸をストーカーの傍に置いた。
叔父さんに電話をかけて事情を話し、後処理は任せることにした。
そして不安で怖がっているであろうハルちゃんと合流すべく、イーピンちゃんとランボ君と約束した公園に向かった。
× × × × × × × × × × ×
ツナ君達は並中生を襲った犯人達を成敗すべく敵地に乗り込んだこと、それゆえにツナ君達と仲良いハルちゃんが狙われる可能性を考慮し僕達がこっそり護衛していたことを説明すると、ハルちゃんは顔を泣きそうな顔でいつものように「はひー!!」と悲鳴を上げた。
「何やってるんですか!?犯人のアジトに乗り込むなんて正気じゃありません!」
「ガハハ、ハル泣いてるもんね!」
まだ気遣いを覚えられていないランボ君が無神経に揶揄う。
こういうのも最近は慣れたな。
「な…泣いてません!!ハルはマフィアのボスの妻になるんです。こんなことで泣きませんよ。ツナさん、頑張ってください!」
「大丈夫、ツナ君って優しいイメージが強いだろうけど、ああ見えて大切な人が傷つけられることにはしっかり怒る人だから。それに獄寺君と山本君とビアンキさんとリボーン君もついてる。みんなで勝って帰って来るよ。」
本当は凄く怖い。
城島君なら持久戦に持ち込まれさえしなければ、死ぬ気モードのツナ君が勝つだろう。
でも彼以上の相手だと短期決戦にしろ持久戦にしろ、死ぬ気モードでも負ける可能性がないとは言い切れない。
だから怖い。
でも信じて待つと決めたから。
お願い、無事で帰ってきて、ツナ君。
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