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長く暮らしたところを出て辿り着いた大きな駅を目の前にした私は滅多に乗らない電車に長時間揺られた疲れを忘れるぐらいに驚いた。溢れ返るような人の数を見るのは初めてなことで唖然としてしまうところを肩が誰かとぶつかってはっとする。ぶつかってきた相手から小さな舌打ちが聞こえて逃げるように改札口そばの隅っこに移動を試みた。
けれど運が悪いことに今は所謂ラッシュと呼ばれる時間帯らしく、人がごった返すほどの多さ。もはや惨事だった。もたつきながら歩いて行けば何度も人とぶつかって。「すみませんっ・・・あ、すみま」言い終える前にほかの人にぶつかるということを繰り返すうちに私物を詰め込んだ風呂敷包みが巻きつけた首からずり落ちそうになる。背負い直そうと肩を上げるとまたぶつかって今度の相手は迷惑そうな目で見てくるのに気付いて慌てて荷物を手で抱えた。そうして通行の邪魔にならないところに何とか移動したのだった。(都会の人コワイ・・・)

街並みを車窓から眺めてたけど、テレビで見たままの光景そのままが広がっていて、ずっと抱いていた不安が引っ込んだ代わりに少しだけあった期待が前に出てくるのがわかった。テレビで見たのと同じだと私の中にあるみいちゃんはあちゃんが騒ぎ立てる。殺風景な村と比べたらそりゃあもちろん活気があって、かわいいものがいっぱいで。ちょっとだけ楽しくなってきた私は風のような速さで歩く人々を飽きもせずに目で追っていた。

空から来た天人たちが持ち込んだ技術で発展した異国情緒溢れるここは江戸の町。