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カナちゃんは、私より一日早く発った。何でも準備がどうとか。そんなことを言って荷物をまとめる作業で話を半分聞いていなかった私に向けて手を振っていた。今日の待ち合わせ場所への行き方を書いたメモを残してくれたのは「えっどこに行けばいいの!?」と慌てふためいた私を想定して事前に用意してくれたことには感謝しよう。感謝するけど

(よろずや?ぎんちゃん??)

着いたよと足を止めたカナちゃんの視線が上を向いているのに倣って見上げたら看板があった。何でも屋さんだろうかと首を傾げながらそう解釈する私を置いて、一人先に階段を上がって行く後ろ姿をゆっくりと追いかける。ここに住んでいるのかな?とキョロキョロ見渡しつつ階段を上がり切ると玄関扉があった。その前でガシャガシャと乱暴に扉を叩くカナちゃんに「あんなことして大丈夫かな」と関わりないように距離を取っていると扉の向こう側から声が聞こえた。

「はいはーい。どちらさまですか?」

三角頭巾を被ったエプロン姿の眼鏡をかけた少年が開いた扉から現れる。掃除中だったのかな?