▼ ▼ ▼

ガラス越しに見るカナちゃんは少年にとって不審に思えたのだろう。じっと自分のことを見下ろすカナちゃんに怯えたのか後ろに下がる少年を見兼ねた私はカナちゃんの背中をぽんと叩いた。と、同時に。

「依頼かァ?」

奥から眠そうな目をした男の人が銀色の頭を掻いて歩いてくる。「あっ銀さん」ほっとしたような声色で振り返る少年を見て、この場をうまく取りまとめてくれる人なのかなと思って様子を見ていると男の眠たげな目がいきなり見開いた。ビクッと肩を鳴らす私にはそんな反応をされる心当たりがない。そうすると私じゃなくて。

「おまっ・・・カナエか!?」

驚愕の表情で指を指す先では「おお」と片手を上げて呑気に応えていた。2人は知り合いのようである。
「今までどこに・・・」と驚きを隠せないでいる男の人を放って「入るよー」と勝手に家の中に上がり込むカナちゃんはどこまでも自由で、男の人はまだまだ言いたいことがあったのだろう。口を引き攣らせ米神に青筋を浮かべる男の人は奥へと進むカナちゃんの後を早足で追っていた。
ぽかんと残された私は「銀さんが振り回されてる」という眼鏡の少年の呟きにえっと無意識に反応した。そこでお互いに顔を見合わせると彼の顔つきは次第に気まずさを滲ませて困っているようだった。私も同じ気持ちだった。それが顔に出ていたのだろう。

「さっきの人の・・・」
「あ・・・ツレ、です」
「なら中にどうぞ」
「・・・お邪魔します」

後ろ頭に手を置いた少年の気遣いに、情けなくも緊張していた。