解れる
宮侑と付き合って二カ月近く経ちそうになったとき、名字名前は人生で一番悩んでいた。侑くんと一週間ぐらい電話もlineもしてない。今までのペースが普通じゃなかったのかもしれない。侑くんも侑くんのペースあるし……、スマホを覗き込んで自分から連絡しようとしても、無理だった。彼女は宮侑と付き合うという意味を分かっていなかった。後悔にも似た気持ちになっていた。やっぱり、私に侑くんの彼女は無理じゃないのかな。順調に育っていた二人の関係が初めて折れそうになっていた。
事の発端は宮に試合を見に来ないかと、誘われたことがきっかけだった。まだ大会はきっと会場に慣れていないだろう彼女のために、宮が誘った試合は稲荷崎高校で行われる練習試合だった。友達も誘ってくるといいと言われて、やっと彼女は見に行く決心がついた。そして、先週の土曜日が練習試合の日だった。相手は稲荷崎高校にも負けず劣らずの強豪だった。きっとひとことで言うなら、いい試合だった。簡単に勝ちも負けも決まらない。どっちが勝ってもおかしくない試合だった。稲荷崎高校は負けた。僅差だった。
彼女はコートの中で、目が回りそうなくらいに素早く動く宮の姿に驚いていた。バレーなんて、テレビに映っていたものをたまに見るくらいだ。間近で見ると、好きな人がやっていると、こんなに違って見える。バレー部の応援やファンにも驚いていたが、それよりも彼女の目には宮しか映っていなかった。今までスポーツ観戦しか、したことがなかった。彼女はこんなにも本気で、心から誰かを応援したことがなかった。悔しさを押し殺した顔で整列する宮の姿に、彼女は泣きそうになっていた。そして、自分の立場に、感情に戸惑っていた。
その日の夜、彼女は宮にlineをするか悩んでいた。宮がバレーに対して、人一倍厳しいことは彼女の学年で有名な話だった。実際に、彼女は過去体育館へ先生を探しに行ったときに出くわしてしまった。宮はバレーのためなら、何もいとわない。その真っ直ぐさが怖かった。普通の人間なら感じるしがらみも気にしないで、宮は突き進む。
あのときの、侑くんは真剣過ぎて、冷たい目だった。もし、無駄な口を挟んだり、余計なことをして、あんな目で見られたらどうしよう。
「侑くんに嫌われたくない」
ああ、もう、勇気出すって決めたのに。これからも侑くんの彼女でいたい。でも、侑くんの彼女で居るってことは、これからもこういう事があるんだよね。部外者の癖に、勝ち負けを喜んだり、悔しがったりおこがましい。彼女として何か出来るだろうか。分からない。全てがおこがましいように見えて、怖い。結局、自分が臆病なだけだ。
こんな私でも、侑くんの彼女でいいのだろうか。
もしかしたら、侑くんの方から何かアクションがあるんじゃないかと彼女は期待していたが、何もなかった。二人の空気が良くないものだとは分かる。分かるけど、何をしたらいいのが分からなかった。時間だけが過ぎて行く。そんなとき、今週ゴミ捨てのヤツは準備室の整理整頓な、と担任に言われてしまった。久々の宮との二人きりだった。
喋らない……。むしろ、目すら!合わない!
彼女は先を歩いていく宮について行った。そのとき、初めて気付いた。宮はこんなにも歩くのが早かったのか。ああ、もう、泣くな泣くな。もう、侑くんとは帰れないかもしれない。あの優しさは当たり前じゃないって、分かってたはずなのに。大切にしなきゃいけないのに。どうして、私はダメなんだろう。彼女は意地でも泣くことを我慢した。目玉が溶けたら、困るからだ。宮のことが見れなくなるのは困る。それは困る。彼女は顔を上げて、宮を追いかけた。
宮がカギを開けて、中へ入ると埃っぽく薄暗かった。カーテンが閉まったままらしい。彼女は扉を閉めながら、電気のスイッチを手探りで探すことにした。
「汚いな……これ今日中に終わらんやろ。なあ名前」
「……」
久しぶりに聞いた宮の声に彼女は振り返った。今、名前って言った?丁度宮は彼女に背を向けていた。その大きな背中に彼女は我慢が出来なくなった。違う。大きいけど、強いけど、それだけじゃない。まだ、名前って呼んでくれる。宮は薄暗いままだったので、また彼女の名前を呼ぼうとした。振り返ろうとして、身体に衝撃が走る。後ろから思い切り抱きしめられた。背中に当たる柔らかい感触に、宮は今までの気まずさが吹飛びそうになった。でも、彼女の震える声に我に返った。
「侑くん」
「ど、どうしたん?」
「私侑くんと別れたくない」
「!?」
待って、待て、分からない、読めない。なに、何が起こっているんだ。宮は脳をフル回転させたが、ここ数日ずっとバレー漬けで違う女の子と二人きりになったことも、変なことをした覚えもなかった。名前から俺に別れたいって言われる要素はあっても、名前が別れたくないなんて言われることがあっただろうか。……全然分からん!女の子難しい!
「名前とりあえず離れて」
「やだ」
彼女の腕力なんて知れている。それでも、柔らかな身体を押し付けられて、冷静に振る舞えるほど宮は大人ではなかった。ぐりぐりと頭を押し付けられて、本当に理想が飛んで行きそうだ。
「ほんまに、あかんっ…って!」
宮はなるべく力を込めずに、名前の腕を解いて振り返った。そこには見たこともないくらい、悲しそうな顔をして宮を見上げる彼女の姿があった。俺がしたい、その顔。宮は彼女の頬を両手で包んで、濡れた瞳とばっちり目を合わせた。彼女は眉間には可哀想なくらい皺が寄っていた。
「名前どうしたん?急に」
「だ、だって……侑くん私に呆れてるんじゃないかなって」
「はぁ?俺が名前に?」
「だって、試合見に行っても気の利いたこと言えなくて、私部外者なのに、侑くんが負けるとすっごい私も悔しくて、おこがましい。侑くんにお疲れ様、かっこよかったって言いたかったけど、侑くんはバレーに真剣だだから、そんな言葉言われても、……とにかく私すっごくおこがましいの、……」
支離滅裂な言葉に宮は所々首を傾げながらも、彼女の言葉にちゃんと耳を傾けていた。彼女は一回泣き出たら止まらなくなって、小さい子のようにしゃっくりを上げそうになった。さすがにそんな泣き顔は見せられないと、彼女は両手で顔を隠した。こんな見っとも無い顔なんて見れられたくない。でも、口は止まらない。
「侑くんのことが好きなの、これからも彼女でいたい……。でも、これからもこうやって気まずくなって、わたし侑くんに嫌われたくないから、逃げて」
ずるずると座り込む彼女に合わない視線を合わせるように、宮も一緒にしゃがみ込んだ。宮は今の顔を彼女に見られなくて良かったと思って居た。自分でも湧き上がってくる感情がよく分からずに、何かを我慢している変な顔をしていたからだ。宮はこの一週間を思い出して、言葉を重ねた。
「名前が最近連絡くれんかったのも、ずっと落ち込んどったのも、目の下がクマになっとるのも、そのせい?」
うん、彼女は頷いた。宮はもう、頭がおかしくなりそうだった。泣きじゃくる名前を抱きしめて、閉じ込めたい衝動に襲われた。もう、ほんま、コイツ憎たらしい。何回俺に我慢さすねん。宮は知っていた。彼女の制服のポケットにふわふわとしたハンドタオルが入っていることを、知っていた。そのタオルの存在を忘れている彼女に、そのタオルを取り出して、顔を覆っている手越しに押し付けた。
「見いひんから、ほら」
「……」
宮は彼女の真似をして、自分の顔を両手で覆った。彼女はそろりそろり、と少しずつタオルで顔を覆って、涙を拭った。拭っても、きっと真っ赤な目元と鼻でひどい顔だろうけど。そっと、目元だけ出して宮の様子を伺った。
「もうええ?」
「うん」
「……なんや、器用やな名前は」
「ん」
宮は笑顔を零しながら、彼女のまつ毛に乗っている一粒の涙を人差し指で触れた。彼女は反射的に目を閉じた。そして、つぅーと流れて行く涙の様子に宮は自分の喉が鳴っていたことに気付かなかった。
「侑くん私」
「もっと好きになった」
「え」
「名前のこと、もっと好きになった。今すぐ押し倒してキスしたいぐらい、好き」
「ええ」
「名前は部外者やないよ。俺の彼女やもん……そりゃあ、まあ、バレーのことはなぁ、口挟まれたくないけど。それでも、好きな子から試合に負けた途端、スルーされるのはかなり堪えたわ」
「あ、ごめんなさい。違うの、その」
じわじわとまた彼女の目に涙が止まっていく。泣きそうになっても彼女は懸命に宮を見上げているものだから、宮は穏やかな顔をしながらも理性のカウントダウンが始まっていることに焦っていた。あかん、ほんまにあかん。今は衝動的に手を出していいときじゃない。ちゃんと向き合う時間だ。宮は彼女に気付かれないように、深く息を吸って自分を落ち着かせた。
「ええよ。ほら、泣かんの。
今回は……こうやって、話してくれたから。初めてやったし」
「じゃ、じゃあ……これから、こうなったときどうすればいいの?」
「うーん?こうなったって、俺が負けたとき?」
「……」
「すまん、冗談やから、泣くな。泣くな〜名前〜」
ダメだ。茶化しても、空気は軽くならない。宮はどこまでも、真剣で真面目な彼女が愛おしくて仕方がなかった。知らんかったなぁ、名前がこないに泣き虫なんて。彼女の髪に指を差し込んで、髪を梳くようにに宮は彼女の頭を撫でた。ついでに、背中をぽんぽんと赤ん坊を慰めるように叩いてみた。よしよし。自然と彼女を腕の中に迎えていたが、彼女が安心したように頭を預けてくるので不可抗力だ。
「せやなぁ……とりあえず、名前から連絡は欲しい。その日やなくても、次の日でもええから」
「……なんでもいいの?」
「電話とか、して欲しい。名前のどうでもええ話聞きたい」
「どうでもいい」
「はは」
「侑くん……」
「分かっとるよ、名前がちゃんと見てくれとったって。でも、それだけやから。
名前が何を思ったこととかは分からへん、俺は名前やないし。
それに俺イヤな事はイヤって言う方やから、心配せんでいいよ」
「うん……侑くんは私にいっぱい言ってくれたよね」
「いい男やろ〜?」
「うん、大好き」
弱弱しい束縛と、掠れた小さな声。宮の最後の理性を崩すには十分な威力だった。宮は彼女の両頬を両手で挟んで、鋭い目で見下ろしたが、彼女は恥ずかしそうに笑うだけだった。ええの?という少し弱気になる宮の困り眉に、いいよと彼女は目を閉じた。涙は流れなかった。宮は吸い寄せられるように、彼女の唇へ自分の唇を重ねた。少ししょっぱくて、冷たい。ずっと知りたかった。どんな感触なのか、俺は名前に触れてしまったらどうなるのか。
そんなの分かり切っていたくせに。
「んっ……」
「……名前」
彼女は身体の感覚がこんなに敏感だったか不思議な気分だった。宮の大きな手のひらが彼女の背中を強く引き寄せる度に、言葉にしがたい疼きが腰に生まれる。宮も宮で、彼女が遠慮がちに掴んでくる指先をワイシャツ越しに感じていた。すっかり唇が熱くなって、彼女が離れようとしても宮の唇が追いかけてくる。彼女は自分の唇が潰されるような感覚に、耐え切れずすぐに目を瞑ってしまう。宮は薄目を開けて、彼女の様子を見ながら強く唇を押し付けた。
あかん。意味分からん。
彼女が恥ずかしがっていることも、戸惑っていることも、ましてや余裕がないことも宮は分かっている。分かっているけど、宮も余裕がなかった。初めて触れる彼女の唇はしっとりしていて、触れていると気持ちがいい。ときどき息がつまって、ぶるっと不規則に震える身体も、ほんのり温かい熱も好きだと思った。でも、そろそろ離さなかんよな……。唇を離しかけたときに、彼女の唇はしっとりしているから、吸い付かれたような離れ方になる。もう、それが、宮にとってダメだった。その感覚が癖になってきて、何度も唇を離しては押し付けてしまう。宮の手が彼女の背中を、ブレザーを強く握ってしまい、ずるりと彼女の肩からブレザーが脱げてしまった。
「あっ」
薄手のブラウスと、乱雑に脱ぎ掛けたブレザー。そんな姿で彼女は戸惑いながらも、宮を見上げる。宮の弱い、上目づかいだった。
今まで我慢してきた欲求が溢れて行く。彼女のリボンを外して、ブラウスのボタンをひとつ、ふたつと外していく。彼女はびっくりして離れようとするが、キスをされたままで上手く動けなかった。校則を守っている彼女はいつもブラウスのボタンを一番上までとめていた。何回外すこと考えたか。さらけ出された白い鎖骨も、肌も、紛れもなく本物で、彼女のものだった。宮は彼女の首すじにキスを一回。鼻をすり寄せるように、下へ。彼女は宮に支えられながら、気付いたら膝立ちになっていた。
侑くんの髪くすぐったい。彼女の耳や首すじ、鎖骨に夢中になっている宮の髪を撫でつけた。不意に宮の大きな手がお尻に触れるものだから、彼女はびっくりして宮の頭を抱き込んでしまう。急なことに宮は驚きながらも、ぐいっと彼女の腰をもっと引き寄せて自分から彼女の胸元に顔を埋める。彼女の肌と、ブラウスの香りがたまらない。どんな触れかたをしても、満たされない。足りない。スカート越しに触れたお尻も、柔くて宮は彼女は本当に自分と違う生き物なんだと、再確認した。
「やだ、あつむくん」
「うん」
「聞いてない、よね?」
彼女は宮の肩に触れていいのか戸惑って葛藤の末に、遠慮がちに少しだけ掴んで宮を離そうとするが上手く行かない。宮も宮で抵抗するものだから、二人の距離はますます狭くなるだけだった。宮は器用に唇でボタンを外して、彼女のキャミソールをずり下げた。彼女はぎょっとして、宮の名前を呼ぶ。ちゅう、と音を立てて、宮の唇が触れたと思ったら、感じたこともない痛みに襲われる。そんなに痛くないけど、なに?
「あの、あつむ……むう」
「ん」
やっと顔を上げたと思ったら、また唇を塞がれてしまった。そのとき、彼女の負けん気に少しだけ火が付いた。彼女は手探りで宮の首元の触れる。くすぐったい手つきに宮は大きな手で彼女の両手首を捕まえてしまう。早くも彼女の反撃は終わってしまい、彼女は拗ねたようにそっぽを向いた。唇が離れて不満な宮は「えー」と彼女にすり寄っていく。
「ずるい、侑くんも」
「も?」
「私ばっかり脱がされて、だから、侑くんも」
「しゃーないな。名前のお願いやからな、きいて」
「もーじれったい」
彼女の不満に宮は心底楽しそうに頬をゆるませた。そして、もったいぶるように自分のネクタイを解こうとした。そのしょうがないと言った宮の態度はどこか色っぽく彼女は頬を膨らませて、宮のネクタイへ手を伸ばした。
「大胆やなぁ、名前ちゃんは」
「だって、侑くんが」
彼女の口が開こうとしたときに、二人の耳には慣れ親しんだチャイムの音が響いた。宮は彼女の手を取ると、にんまりと笑う。彼女は悔しそうに呻いた。少しずつ教室に居る名字名前と宮侑に戻りつつあった。彼女は口を噤んで不満そうに宮を見上げ続ける。でれでれと笑みを浮かべながら、宮は彼女のブラウスのボタンをとめて、ブレザーを着せてやる。大人しく着せられながらも、彼女の唇は尖ったままだ。
「名前?」
「……」
「名前ちゃーん?名前さん?」
「……」
彼女の手を取って立たせても、名前と呼んでも、顔を覗き込んでも、彼女はそっぽを向いた。拗ねているらしい。一回理性が飛んで吹っ切れたのか、宮は痺れを切らして彼女の顔を両手で捕まえる。
「!」
「名前」
「しらな……んう」
「ん、……やっとこっち向いた」
「……」
彼女は宮のとろけそうな甘い笑顔に弱かった。彼女は見栄を張って眉を寄せようと頑張ったが、無理だった。宮の胸に手を置いて、踵を思い切り上げる。今ここで意地悪をしたら、きっと彼女は拗ねてしまうだろうと思って宮は彼女の腰を支えることにした……というのはかっこつけで、まさか彼女の方からしてくるとは思わなかったのだ。彼女の唇が宮の下唇をむにゅ、と押し潰した。宮はたまらず角度をかえて、唇を重ねる。
二人は最後まで甘い空気を堪能するように、お互いを強く抱き締めた。
「なんか、あつい」
「はは」
「あ、ねえねえ」
「うん?」
「ここチクって、何したの?」
「んー名前は俺のもんっていう証」
廊下に出ると、二人のなかに籠った熱が冷たくなっていくのを感じた。それは寂しくもあって、どこか気持ちが良かった。彼女は顔を真っ赤にしながら、廊下で宮に名前と呼ばれて、ぎょっとした。宮も下手くそな笑みを浮かべて、「名字さん」と呼び直した。二人の距離は一人誰かが入れそうな距離だった。二人で並んで歩くにはぎこちない距離だった。彼女はその距離を保ったまま、宮に笑いかけた。
「あのね、いつか侑くんって堂々と呼べたらいいなって思う」
「うん、俺も名前って呼びたい。
名前ってお菓子の包装紙とか、破るタイプ?丁寧に開けるタイプ?」
「えー、一応丁寧だけど失敗しちゃう」
「俺はな、絶対丁寧に開けんねん。セロハンテープとかも、綺麗に取る。
……俺は自分の好きなもんは見せびらかしたりせん。俺だけの、宝もんにする。
せやから、名字さんのこともな、丁寧に大切にしたいねん」
「……」
宮の言葉は彼女への気遣いでもあったし、本当に自分自身の気持ちでもあった。彼女はどちらでも良かった。彼女の目が潤み始める。宮は眉を下げて、彼女の頭を撫でて囁いた。
「今度は名前が俺のこと、丁寧に脱がしてな」
「あつむくんっ!」
思わず彼女が宮のことを名前で呼んでしまえば、宮はわざとらしく周りを見渡した。おまけに、しーと口をつくって人差し指まで立てた。彼女は怒ったふりをして、宮を睨み上げる。二人の関係は隠しているからって、不安になることはもうない。いや、二人は隠しているんじゃない。二人だけで大切にしているだけだった。宮はそっと彼女の胸へ視線を向ける。片方の、胸だけにある自分の証。両方では意味がない。一つだからこそ、意味がある。きっと彼女には分からないだろうけど。
「宮くん?」
「んーん、何もでもない。今週、整理整頓頑張ろうな」
「うん」
彼女の無邪気な笑顔に宮も笑い返した。少しずつ、これからも進んでいけばいい。それだけの、話だ。
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